70代の食事は、パンや麺より「お米」へ
家飲みも減っている
エンゲル係数は「高くなるほど貧しくなる」象徴だと言われている中、日本は先進国でエンゲル係数が最も高くなっています。年代別には、50代は26%ですが、60代は約28%、70代は約31%と高齢になるほどその貧困度が高くなっています。
ただ、そこまで心配する必要はありません。70代の食費は50代よりも減少しているのに全体の収入が少ないため、支出に占める食費の割合が高くなり、エンゲル係数が高くなっているだけだからです。
食費は、50代前半は約9万2000円、50代後半は約9万1000円といずれも9万円台で、全年齢の平均8万5000円より高くなっています。
ところが、70代後半になると、約1万円あまりも減少します。60代前半は約8万5000円、60代後半は約8万8000円、70代前半は約8万2000円、70代後半になると約8万円まで下がります。
70代後半の特徴は、健康に気を付けて食べ物を選んで買うように大きく変化していることです。お米の支出が他の世代より多くなり、パン、麺類は少なくなっています。
魚介類の購入も増えていきます。50代前半は約5100円ですが、後半になると約5700円に増え、そして60代前半は5900円、後半になると約7100円と、うんと上がります。70代前半は約7500円と上がり、後半は7700円まで上がります。
野菜・海藻も増えています。野菜・海藻は、50代前半の8800円から70代後半にはなんと1万円台に上がります。果物は、50代の2千円台から70代の4千円台になります。
代わりに、肉類、調味料や菓子類、飲料、そして、酒類が減っています。健康のためか家飲みを減らしているのでしょう。
健康を意識した食事をしているのは、あながち不幸ではありません。高齢になるほどエンゲル係数が高くなっている背景は、タバコやお酒を減らし野菜や果物、魚にお金をかけているからです。これらは決してファストフードではなく、これまでコンビニで済ましていたところを野菜を買ったりして自分で料理するなど、より豊かな生活を送っているとも言えるのかもしれません。