複数の内定を絞り込む
タイミングとポイント

 一方、複数の内定(内々定)を得ても、最終的に入社するのは1社しかない。そこでどう候補企業を絞り込むのかが問題となる。

 リクルートの調査によると、就活生が1社に絞る進路確定率は4年生の5月頃に5割を超え、8月には8割を超えている。夏が一つのタイミングのようだ。

 就職活動を終えた理由では「志望度の高い就職先から内定(内々定)を取得し、進路が決まったから」が77.5%で最も多い。一方で「志望度は高くないが、内定(内々定)を取得し、進路が決まったから」(20%)、「就職活動が面倒で早く終わりたかったから」(6.6%)、「就職活動を続けることに疲れたから」(5.9%)など、消極的理由で進路決定しているケースもある。

 新卒社員のうち入社3年以内に離職する割合は以前から3割程度ある(厚生労働省調べ)。企業も学生もそれぞれの時代状況に応じて、採用&就活に真剣に取り組んだとしても、その程度のミスマッチはある意味、避けられないのかもしれない。

「内定」が出て就活にひと段落が付くと、時間に余裕ができるはず。入社までの自由な時間をぜひ有意義に過ごしてほしい。卒業単位が不足していたり、卒論や卒研が終わっていない場合はきちんとクリアしよう。入社後や将来のキャリアを見据え資格取得に挑戦するのもいい。内定企業の長期インターンシップに参加したり、好きな趣味に没頭するのもありだ。

 長い人生とキャリアにおいて、就活はゴールではなくスタートにすぎない。“売り手”市場だからと甘く見てはいけないが、必ず正解にたどり着けるわけでもない。「正解のない問いに向き合う」こと、そして「社会に出る心構えを固める」ことが就活の本質ではないだろうか。親もそういう視点で子どもたちの就活を見守り、さりげなく、しっかりとサポートしてあげてほしい。