
電力業界に大逆風が吹いていた2022年に事業を開始し、販売量を急拡大させてきた新電力会社U-POWER。直近の新電力販売量ランキングでは、大手通信系や総合商社と肩を並べる15位前後に位置する。同社の親会社は「U-NEXT」で知られる動画配信や「USEN」で知られる音楽配信を手掛けるU-NEXT HOLDINGS。果たして次の一手とは? 長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、U-NEXT HOLDINGS取締役でU-POWER社長の高橋信太郎氏のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
電力業界に逆風下の
2022年に事業開始
――U-NEXT HOLDINGS傘下の新電力会社U-POWERは2021年に設立され、22年に電力小売り事業を開始しました。
もともとエネルギー事業は「取次」としてやっていました(ダイヤモンド編集部注:グループ会社が東京電力エナジーパートナーの調達する電力を販売)。インフラ事業は非常に社会貢献度も高いので事業推進していきたいという思いが宇野(康秀・U-NEXT HOLDINGS代表取締役社長CEO〈最高経営責任者〉)にはあると理解しています。
22年3月のタイミングでU-POWERが事業開始したのは、市場調達モデルでもう一つエネルギー事業を、しかも再生可能エネルギー(同:いわゆる実質再エネ)でやってみたいという思いがあったからです。
ご存じの通り、その前から新電力が次々と倒れ、最終保障供給(同:需要家がどの電力会社とも契約できなかったり、これまで契約していた電力会社が事業撤退したりした場合でも、地域の一般送配電事業者が最後のとりでとなって需要家に電力供給すること)にそれらのお客さまがどんどん流れました。われわれがきちんとマーケティングをしていくことができれば、そういったことに対し、大きな貢献ができるのではないかと思いました。
それと当時はまだまだ新電力で再エネを掲げて電力供給をしている企業が少なく、ここはやるべきだなと思いました。高圧は固定(単価)ではなく、市場連動型モデル(同:卸電力取引市場の価格に連動した料金体系)で参入しました。電力販売は固定が当たり前という風潮の中で、きちんと商品の説明を需要家にしながらです。
――22年の事業開始から急成長し、新電力の月間販売量ランキング(24年10月分)で15位。次の一手は?