新電力絶体絶命!? 経営危険度ランキング全68社・団体#7Photo by Masato Kato

有力テック企業のENECHANGE(エネチェンジ)が、各家庭や事務所にあるスマートメーターの電力データに基づいた電気代比較の新サービスを2023年秋から始めている。利用者が増えれば電力ユーザーの流動化が進むことも予想され、「勝機となるか、脅威となるか」と、多くの新電力関係者が関心を寄せている。特集『新電力絶体絶命!? 経営危険度ランキング全68社・団体』(全8回)の#7では、同社の経営トップがインタビューに応じ、新サービスの全容や課題を語った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

城口CEO自身が英ケンブリッジ大学で
電力データまわりを研究開発した経験

――各家庭や事務所などにあるスマートメーター(スマメ)の電力データの第三者活用が2023年秋から本格的にスタートしました。具体的には電力ユーザーから個別に同意取得した30分刻みの電力データを企業などが電力データ管理協会を介し、有償で入手・利用できるようになりました。城口さんは10年代半ば、英ケンブリッジ大学でまさにこの領域を研究されていたとか。

 電力需要の最適化、アルゴリズムの研究開発をしていました。当時取り組んでいたのは、例えばオフィスビルの空調制御。環境負荷あるいは電気代負荷が一番低くなるような最適制御をするためのアルゴリズムはどうしたらいいかと考えていました。

 その前提として(スマメで)30分単位、あるいはリアルタイムの電気使用量が分からないといけません。かつ、電気料金体系もそれに合わせたものになっていないと、最適制御に取り組むインセンティブがありません。

 スマメが普及すると、基本的には時間帯別料金体系が可能になります。すると、消費者は最適化したくなります。体験(ダイヤモンド編集部注:空調の場合は快適な室温)をまったく悪くせずに最適化する。一番分かりやすい例が空調制御でした。

――ENECHANGE(エネチェンジ)社は23年秋から家庭向けの「マイエネルギースイッチ」(法人向けは「マイエネルギー定期見積」)を始めました。新電力の何社かにヒアリングすると、「客が頻繁に安い電力会社へスイッチ(流動化)するようになると困る」「複数年の契約で縛る対策が必要になるかも」といった声や、逆に、「多少安いと分かっても、客は面倒くさがってそれほどスイッチしないのでは」という声もありました。