無事に私立中学に合格すると、どんどんお金が出ていく。先の文部科学省の調査によると、私立中学校の学校教育費は年約113万円、学校外活動費は年約42万円、合わせて年155万円にもなる。1カ月あたり約13万円！2人通わせると、26万円！アルバイトができない分、大学生よりもお金がかかる。

　高校授業料が無償化になったからといって、無計画に私立中学受験コースに踏み込んではいけない。落とし穴（1）と同様に資金繰りができるかどうか、綿密な家計チェックが欠かせない。

授業料無償化の落とし穴（3）
大学進学費用は「4カ月で200万円」！

　前述のように児童手当は金額が増え、高校卒業まで所得制限なしで受け取れるようになった。保育料も3歳から無償化になっている。そして、高校授業料は就学支援金の拡大により、無償化の方向で進んでいる。

　つまり、産まれてから高校卒業までの国のサポートは、以前では考えられないくらい手厚いものとなった。この数年で高校卒業する子どもを持つ人は「もっと早くからこういう施策があったら……」と悔しい思いをしていることだろう。

　この数年はどこの省庁も「子育て支援」を切り口にすると、次年度予算が取りやすいという内輪話を聞いたことがある。それはともかくとして、国が少子化対策、子育て支援に力を入れていることは間違いない。

　ただ、私が危惧しているのは、「無償化」に慣れてしまうと、それが当たり前になり、貯蓄のペースが落ちる人が一定数いることだ。

　3歳からの保育料の無償化がない頃は、毎月かなりの保育料の出費があった。保育料は世帯年収や自治体によっても異なるが、世帯年収700万円なら月3万～4万円程度。少なくない金額だ。

　2人の子どもを持つ姪は、下の子が3歳になったときに「3歳からの無償化」がスタートしたので、「すごく助かる～。浮いたお金は貯金しよう」とせっせと貯めている。

　一方で、もう一人の姪は、3歳以降は「保育料が減ったから、習い事を増やせる！」と貯蓄を増やしている様子はない（この違いは性格やお金の使い方のクセによるところも大きいが……）。