運を掴むのもリーダーの資質
運は星の数ほど天から降っている

 うまくいかないのは、「トライ&エラー」の数が足りないからです。私も旭酒造を継いでからずいぶん失敗して、みんなに笑われてきました。でも、エラーから次の成功が見えてきます。

 エラーを繰り返しても、私はとても「運」が良かったと自分で思っています。この「運」は誰にでも平等です。運は、星の数ほど天から降ってきます。誰に対しても、です。その運をつかめるかどうかも、リーダーの資質だと思います。

 なぜかと言うと「運の良しあし」は実はとても単純で、人が良くて考え方が変じゃない人が、やはり運が巡ってくるからなのですね。人の足を引っ張ることに忙しいような人は、目の前の運をつかめない。仕事に対して真面目で、曲がっていない人が運をつかめます。そして結果的に、運が良い人にポジションが来ます。

アメリカ人スタッフと一緒に
毎朝ラジオ体操をするワケ

――エラーが続いてうまくいっていない時、部下を励ますためにはどのような励ましや声掛けが必要ですか? やはり「飲みニケーション」も大切ですか?

 まず、ダメなものはダメとはっきり言わなければいけません。その上で、先ほどの「最初は絶対にうまくいかないから、大丈夫」なのですね。飲みニケーションが大事というわけではなく、「あらゆる手段で」コミュニケーションをはかることが大事です。飲みは手段の一つでしかありません。

 ニューヨーク蔵では、普段からスタッフに対して「どう?」「おはよう」という何げない声かけも含めて大事にしています。私は英語がほとんど話せないので、たいしたことは言えません。でも、君の仕事ぶりをいつも見ているよ、ということはさりげなく伝えるようにしています。

 よく「遠距離恋愛はダメになる」と言われますが、それは社員も同じです。ある程度、接触する時間や頻度を確保することが必要だと思います。アメリカでは現地採用のスタッフと一緒に毎朝ラジオ体操をしています。日本では全くやっていませんでしたが(笑)。ストレッチにもなるし、スタッフとのコミュニケーションにもなって、なかなかいいですね。

NY蔵人たちニューヨーク州の酒蔵で働く蔵人たち(旭酒造提供)