親の介護については、自分の両親は経済的な余裕があるので心配ないと思っていても、遠隔地に住んでいる場合には、交通費だけでそれなりの金額に達する恐れがあります。また民間の老人ホームに入居する場合は親の貯金と年金だけではまかなえず、援助しないといけないケースも珍しくありません。
次に、支出から収入の差額を計算します。ここでのポイントは、55歳時点での年収に5年を乗じた後、下記の計算をすることです。
55歳から64歳まで10年間の支出額-60歳定年までの収入(55歳×5年の収入)
つまり、この計算によって求められる差額が、「60歳~64歳までの5年間で稼がないといけない金額」ということです。退職金制度がある会社では、60歳定年までの収入に上乗せできますが、退職金の支給額は減少する傾向があるので控えめに見ておいたほうがよいかもしれません。
こうした計算はライフプランと呼ばれており、通常は本人が亡くなるまでを想定して算出します。ただ、将来、何歳まで生きるかは誰にも分からないですし、インフレによる物価の高騰により、支出は増えるかもしれません。個人的には、10年間に期間を絞ったほうが、解像度が高い数値を出せると考えています。
「定年後は自分の好きな仕事をしたい」「ゆっくり過ごしたい」と考える人も多いかと思われますが、まずは必要なお金がいくらなのか、それをどのようにして稼ぐかを考えることが優先事項になるでしょう。
特に重要なのは、60歳から64歳までの5年間です。65歳以降は年金が支給される上、子どもの学費や両親の介護にかかる負担がなくなる人も多いからです。