キャンペーンのスピードが約2倍に、収益は目標の6倍を達成
成果は、さまざまな数字となって表れた。まず45の分断されたプロセスが1つの統合フローに生まれ変わり、顧客データの一元的なビューが全社で共有可能になった。また、キャンペーンコンテンツの更新から市場投入までのスピードが92.5%向上。さらには、収益が当初目標の6倍を達成したのだ。「9月の会議では、どうやってこの目標を達成するか見当もつかなかったのに」とクック氏は振り返る。
クック氏は「マーケターがリアルタイムで自分の運命を変えられるようになった」と説明する。以前はキャンペーン開始から結果が出るまで手を加えずに待つしかなかったが、現在ではデータをリアルタイムで確認し、芳しくなければその場で内容を修正できる。つまり、マーケターは受け身を脱し、キャンペーンの成否に対して何度もトライできるようになったのだ。
顧客にとって分かりやすい変化は、顧客一人ひとりに合わせたコンテンツが増えたことだ。例えば、新規顧客向けのウェルカムジャーニー(会員登録後などに行われる一連のコミュニケーション)。以前のウェルカムジャーニーのタッチポイントは3つだったが、現在は、100日間にわたって17以上のタッチポイントを持てるようになった。さらに、以前は全会員に同じ内容を送るだけだったのが、会員の好みや行動に合わせてパーソナライズされるようになり、50万以上(間もなく200万)のバリエーションが可能になったという。
これにより、新規会員に対してより関連性の高い情報やオファーを提供でき、顧客エンゲージメントと収益の向上につながった。

未来は私たち自身が築き上げるもの、基本的な作業にこそ価値がある
クック氏は最後に、「結局のところ、私たちがここにいるのは、最新のイノベーションを追求し、お客さまの体験をより良くしたいという思いがあるからです」と会場全体に語りかけた。
「未来は、ただ偶然に訪れるものではなく、私たち自身が築き上げるもの。一見地味に思える基本的な作業こそが、実は最も価値があり魅力的なのです」
AIやテクノロジーに翻弄されるのではなく、真の課題を明らかにすることが本当の出発点。マリオットの例は、多くの企業にとって指針となるだろう。