いつも謙虚で控えめなのに、なぜか一目置かれる人がしていることとは? 世界で話題となり、日本でも20万部を超えたベストセラー『「静かな人」の戦略書』の著者、ジル・チャンが待望の新作を刊行。謙虚な人ならではの作戦を伝授する『「謙虚な人」の作戦帳――誰もが前に出たがる世界で控えめな人がうまくいく法』だ。台湾発、異例のベストセラーとなっている同書より、特別に内容の一部を公開する。

意見を言いやすくなる「3つのフレーズ」
謙虚に自分の実力不足ばかり意識していると、会議や議論の場で、どうしても相手に同調しがちになる。
「あなたの言うとおり。そうしましょう」
「みんながOKなら、私もOKです」
しかしこうして何にでも同意していると、長期的にはまわりから、貢献度が低く、価値に乏しいと判断されてしまう。
たとえ実行力が高かったとしても、議論の場で存在感を示せなければ、手を動かすことしかできない「実行部隊」と見なされてしまう。
以下に挙げる定型文が、あなたの積極性をアピールする助けになるだろう。
1.「一歩引いて考えてみませんか?」
この言葉を口にするときは、心のなかで、後光を背負って効果音をつけよう。
あなたが大局的な視点で考えていることが周囲に伝われば、その後の発言も一段高い視点やレベルに見えるようになる。グループでひととおり議論したあと、違う視点を提示したいときに、この言葉を使おう。
たとえば、新しいウェブサイトのデザインを考える会議で、トップページには何を載せるべきか意見を出し合っているとき、「一歩引いて考えてみませんか? 私たちのサイトを見に来るのはどんな人でしょう?」とか、「私たちが本当にクリアすべき問題は何でしょうか?」というふうに使うことができる。
2.「あなたの言うとおりですし、それに……」
この文のポイントは、「あなたの言うとおり!」だけで終わらせず、そのあとにきちんと言葉を続けることだ。
この定型文を使う練習をすることで、他人の視点に自分の視点を補足したり、違う観点を提示したりすることができる。
そう、賛成だろうが反対だろうが、「しかし」ではなく、「それに」を使おう。
「それに」のいいところは、相手に、あなたの意見は受け止めているし、同意もしていると伝えられる点だ。
これなら衝突の可能性を大幅に減らすことができる。「それに」のあとに続く意見なら、前のロジックを発展させたものだとわかるので、周囲にも受け入れられやすいだろう。
たとえば、「あなたの言うとおり、サイトのトップページからすぐに私たちのサービスに行き着くほうがいいですね。それに、連絡先も強調したほうがいいと思います」というふうに使おう。
お気づきだろうか。
この例文、じつは前の文と後の文の内容に、たいしたつながりはない。
だが「それに」を使うことで、うまく自分の考えを議論のなかにすべりこませることができるのだ。
3.「ポイントを整理しましょう。これで合っていますか?」
――「ただ賛成」でも、こうして議論に貢献する
もし本当に何も言うことが思いつかない、あるいは言おうとしたことをすべてほかの人に言われてしまったら、意見をまとめることで先へ進む手助けをしよう。
言ってみれば、曲の間奏や階段の踊り場のような役割を果たすのだ。
議論がある段階まできたら、
「ここまでの3つの合意点を整理させてください。1、サイトはウォーターフォールレイアウトにすること。2、トップページには動画やアニメーションは使わないけれど、視覚に訴えるビジュアルにすること。3、提供するサービスと管理者への問い合わせ方法は明確にすること。以上で合っていますか? では、ビジュアルをどう強くするか、もう少し詰めていきましょう」
といった感じで言ってみよう。
あなたは一切新しい考えを述べていないし、他人の意見に賛成も反対も表明していない。それにもかかわらず、話を整理することで議論に貢献し、会議のテンポをリードすることができる。
(本記事は、ジル・チャン著『「謙虚な人」の作戦帳』からの抜粋です)