いつも謙虚で控えめなのに、なぜか一目置かれる人がしていることとは? 世界で話題となり、日本でも20万部を超えたベストセラー『「静かな人」の戦略書』の著者、ジル・チャンが待望の新作を刊行。謙虚な人ならではの作戦を伝授する『「謙虚な人」の作戦帳――誰もが前に出たがる世界で控えめな人がうまくいく法』だ。台湾発、異例のベストセラーとなっている同書より、特別に内容の一部を公開する。

頭の悪い人に限ってやってしまう「恥ずかしすぎる」勘違い・ワースト1Photo: Adobe Stock

能力の高い人は自分を「過小評価」する

 ジェーンには1つ、欠点がある。

 それは他人の長所しか見えないことだ。

 あなたはいま、それのどこが欠点なのかと、あきれたかもしれない。他人から学ぶ機会がたくさんあるということだし、世界が輝いて見えるじゃないか、と。

 でもそのせいでジェーンは苦しんできた。

 実際、ジェーンはいつも心から人をほめるので、みんなに好かれていた。

 だが彼女は自分が好きではなかった。なぜなら彼女には「他人の長所ばかり見えて、自分の長所が見えない」からだ。

 私が長く一緒に仕事をしているカメラマンもそうだ。

 彼女は数々のスターやセレブと仕事をし、世界各地のファッションショーにも参加している。彼女の手にしたカメラは、まるで魔法のようにすばらしい作品を生み出しては、人々を魅了している。

 毎日たった5時間しか寝ていないという彼女は、撮影のほかにも、起業したり、チームを管理したり、社会問題にコミットしたり、保護動物のボランティアにも定期的に参加したりするなど、八面六臂の活躍を見せている。

 だが、彼女は自分には能力がないと悩んでいる(中略)

出来の悪い人は自分の能力を勘違いしてしまう

「ダニング=クルーガー効果」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 心理学者のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが、ある特定の領域で、能力の低い人のほうが、自身の能力を高く評価していることを発見した。

 率直に言ってしまえば、「出来の悪い人は、自分の出来が悪いとわからない」ということだ。だから今後、誰かが自分の能力をはるかに上回ることをしようとしても、その人を責めないでほしい。その人自身は気づいていないのだから。

 一方で、能力の高い人は、自分を過小評価しがちな傾向があるという。

 つまり、いつも謙虚で、自分には能力が足りないと感じているあなたは、ある意味ではすでに優秀だというお墨つきをもらっているとも言える。

 自分の能力不足を心配している時点で、あなたは高い自己理解と自己認識の能力を有しているということだし、それこそが優秀さの基礎でもあるのだ。

(本記事は、ジル・チャン著『「謙虚な人」の作戦帳』からの抜粋です)