動脈硬化で詰まりやすいのは脳や心臓の太い血管だけではありません。脳の微細な血管が詰まることを「ラクナ梗塞」といいますが、大脳の基底核という部位にラクナ梗塞が起こると、脳内の神経伝達物質の1つであるドーパミンの分泌が減少。嚥下反射やせき反射を促す物質であるサブスタンスPはドーパミンによって合成されるので、大脳基底核にラクナ梗塞があるとサブスタンスPもつくられにくくなります。

 サブスタンスPは嚥下反射やせき反射を促す物質なので、大脳基底核の細い血管が詰まると、誤嚥してもせき反射が起こりにくくなってしまうのです。

 その結果、睡眠中の唾液などの誤嚥(不顕性誤嚥)の際、せき反射が起こらなくなり、細菌に感染して肺炎を起こすことがわかっています。ですから、ラクナ梗塞を起こす動脈硬化の予防が大事なのです。

 なお、セルフチェックの脂っこい食事や野菜をあまり食べない、といった生活習慣も動脈硬化の危険因子です。

 また大きないびきをかく人は、高血圧を引き起こす睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるので、専門医の受診をおすすめします。

せきが止まらない…でも風邪じゃない
それ、胃からくるサインかも

 誤嚥性肺炎を起こす主な原因の3つめは、胃食道逆流症。先ほどのセルフチェックで、「胸焼けがある」にチェックが入った人は、胃食道逆流症が疑われます。

 胃食道逆流症とは胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流して起こること。胃の内容物を誤嚥することで誤嚥性肺炎のリスクになります。

 胃酸が逆流すると食道の粘膜が刺激されるため、胸が焼けるような症状が出てきます。また、げっぷが多いのも胃食道逆流症の症状の1つです。

 一般的には、逆流性食道炎の名称が知られていますが、胸焼けやげっぷの症状があり、かつ内視鏡検査で食道に炎症が認められるのが逆流性食道炎です。しかし内視鏡検査で炎症が認められない場合もあります。両者を合わせた病名が胃食道逆流症です。今は炎症がなくても、胸焼けやげっぷなどの症状を放置すると、いずれ炎症が起こる可能性があります。

 胃食道逆流症の原因は早食いや食べすぎ(とくに脂肪の多いものの食べすぎ)、肥満などの生活習慣にあるといわれています。

 食道の胃とつながる部位には、食道を逆流から守るため下部食道括約筋という筋肉があるのですが、肥満の人はこの筋肉の働きが弱いので、胃酸が増えすぎると逆流しやすくなります。

 また、胃食道逆流症が関わって誤嚥性肺炎を生じなくても、せきが出ることがあります。逆流した胃液がのどを刺激したり、食道の粘膜を通して神経を刺激したりして、せきが出ると考えられています。長引くせきの原因の1つです。