運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。

【ホンマでっか!?TV で話題】医者が教える 認知症になりにくい人がしている習慣ベスト1
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認知症のリスクが半減する!?

 軽い運動が認知症を防ぐという研究が、世界五大医学雑誌の1つ『ランセット』の関連医学雑誌に発表されています。

 スウェーデン、ストックホルムのカロリンスカ医科大学が中高年の男女1450名を、約20年間にわたって調べたところ、週2回以上、ウォーキングをはじめとした軽い運動をしている人は、認知症の発症リスクが半減していることがわかりました(※1)。

これって認知症?

 正常と認知症の中間には「MCI(軽度認知障害)」という状態があります。

 これは「やや心配な点はあるが、日常生活には支障がない」という微妙さで、気がつきにくい病気です。

 しかしMCIの半数は5年以内に認知症に移行する(※2)とも言われているので油断できません。

「軽度認知障害で踏みとどまるか? 認知症になるか?」

 50%の確率でどちらになるかは、複雑な要因があるので断言することはできません。

週3日、20~40分を続けてみる

 ただ軽度認知障害には該当せずとも少し心配がある人の認知機能も6ヵ月のウォーキングで改善するというデータもあります。

 カナダのカルガリー大学の研究(※3)によると、運動習慣のない健常な中高年200名が、週3日、20~40分のウォーキングを6ヵ月間行ったところ、認知機能と脳の血流および脳血管機能が改善していたことがわかりました。

家族の認知症が気になる人も

 家族の認知症が気になる人も、一緒に歩くといいですね。

 そうすれば予防と改善が一気にかない、メタボ解消にもなるでしょう。

※歩き方には「コツ」があります。お時間のある方は、本も参照してみてください。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。

【参考文献】
※1 Rovio S, et al.  Leisure-time physical activity at midlife and the risk of dementia and Alzheimer’s disease. Lancet Neurol. 2005 Nov;4(11):705-11.doi: 10.1016/S1474-4422(05)70198-8.

※2 認知症 国立精神・神経医療研究センター 認知症|こころの情報サイト (ncnp.go.jp)
※3 Guadagni V, et al.  Aerobic exercise improves cognition and cerebrovascular regulation in older adults.  Neurology. 2020 May 26; 94(21): e2245-e2257. doi: 10.1212/WNL.0000000000009478