島には4タイプの人間がいて、犯人の候補3人のうち、誰がどのタイプかはわからない。全員バラバラなのか? 同じタイプが交ざっているのか? さまざまな可能性が考えられるややこしい状況ですが、きちんと論理的に解けます。
しかしおそらく、途中で大きな違和感に気づくでしょう。その違和感こそが最重要です。
ひとつだけ核心的なヒントをお伝えしましょう。この問題はきちんと論理的に解けます。100%、解ける問題です。それだけ信じてください。
個人的には論理的思考問題においていちばん面白い問題だと思っています。ぜひ自力で考えてみてください。絶対に損はさせません。
やっかいな2つの存在からわかること
このタイプの問題は「Aの発言が真実だとしたら、他の人の発言と矛盾しないか」と、ひとつずつ仮定して考えていくのが基本戦略でした。
そこで本問でも、Aが「いつも正直者」「ごまかす正直者」「いつも嘘つき」「正義の嘘つき」であった場合の考察から進めていきます。
ただし他の問題と少し違うのが、特殊な状況だと回答が変わってしまう「ごまかす正直者」と「正義の嘘つき」の存在です。
この存在が意味することを、まずは考えてみましょう。それぞれが「犯人」もしくは「無実」の場合の発言を整理してみます。
自分が犯人のとき→「自分は無実だ」と言う
自分が無実のとき→「自分は無実だ」と言う
自分が犯人のとき→「自分が犯人だ」と言う
自分が無実のとき→「自分が犯人だ」と言う
つまり自分が犯人であろうとなかろうと、自分に対する発言は同じです。ここから、ある法則が判明します。
「正義の嘘つき」は、「自分は無実」とは言えない。
ということです。つまり、
「自分は無実」と言っている人は「正義の嘘つき」ではありません。
ここで、問題文を見てみましょう。
A,B,Cの3人はいずれも「私は無実」と述べています。そのため3人は「正義の嘘つき」ではないことが早くも確定します。
Aが「いつも正直者」の場合
では、Aが残りの3タイプのいずれかであった場合を、それぞれ見ていきましょう。
まずは、Aが「いつも正直者」であった場合です。
この発言が真実だとすると、Bは「犯人」であり、「正直者グループ」だと確定します。
では、Bの発言を見てみましょう。
正直者グループであるはずのBが「Aが犯人」と発言しているため、Aの「私は無実だ」と矛盾します。
よって、この可能性はありえません。
Aが「ごまかす正直者」の場合
次に、Aが「ごまかす正直者」だった場合を考えてみます。
Aが本当に無実の場合は、Aが「いつも正直者」であったときと同じように、Bの発言と矛盾します。
では、「Aが本当は犯人なのに、それについてのみ嘘をついている」という場合はどうでしょう。
この場合、Aは「Bが犯人」と発言しているため、犯人はAとBの2人ということになります。ですがそれでは、目撃者の「犯人は1人」という発言と矛盾が起きます。
よって、Aが「ごまかす正直者」である可能性もありえません。
Aが「いつも嘘つき」の場合
Aは「正直者グループ」ではないとわかりました。
そして解説の冒頭で考えたように、A,B,Cの3人のなかに「正義の嘘つき」がいないこともわかっています。
つまりAは、「いつも嘘つき」であるはずです。
その場合、Aの発言から何がわかるでしょう。
この発言が嘘だとすると、「Aが犯人」「Bは無実」「Bは嘘つきグループ」ということになります。3人のなかに「正義の嘘つき」はいないとわかっているため、Bも「いつも嘘つき」ということになります。
つまり、Bの「私は無実だ」の発言は嘘ということになり、「Bは犯人」となります。
ですがこれでは、犯人はAとBの2人になってしまいます。
よって、この可能性もありえ……ま……せん……。
解けない問題?
……。
…………え?
Aが4タイプのいずれであっても矛盾が生じてしまいました。
これでは問題が解けません……。
いったい、何が起こっているのでしょう?
問題が間違っている?
でも論理的思考問題は「絶対に解ける問題」です。
どういうこと?
論理的には間違いなく解けません。
ならばきっと、見落としている何かがあるはず……。
よし。もう一度はじめから考えてみましょう。
※次のページで種明かしをしますが、できればご自身の力でこの問題の正体に気づくことをおすすめします。