新型パサート、セダンをやめてワゴンのみにした理由は?
フォルクスワーゲンで「ゴルフ」の次に売れているクルマ「パサート」。日本ではゴルフが人気すぎてあまり見かけないが、初代は1973年生まれ、実は50年以上の歴史を持つブランドなのだ。10年ぶりのフルモデルチェンジで2024年11月に発売された新型パサートは、セダンがなくなり、ワゴンタイプのみとなっている。セダンをやめて大丈夫なのか、まずはそのあたりから聞いていこう。
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):今回のモデルチェンジでパサートはセダンを捨て、ステーションワゴン一本に絞りました。かなり思い切った判断だと思うのですが、なぜセダンをやめたのか。理由を教えてください。

フォルクスワーゲン グループ ジャパン ビジネスオペレーション本部 プロダクト・マネジメント課 シニアプロダクトマネージャー 八木亮祐さん(以下、八):これはもう単純な理由です。ヨーロッパではセダンよりもステーションワゴンのヴァリアントの方が、圧倒的に売れていたからです。要するに市場のニーズを反映して、ワゴンだけにしたということです。
F:なるほど。ヨーロッパで圧倒的に売れているステーションワゴンに絞った。
八:あとはフォルクスワーゲングループの大きな流れとして、ボディタイプをバンバン増やしていくのではなく、パワートレーンの選択肢は豊富に残したままで、バリエーションのスリム化を図っている動きがあるように見えますね。フォルクスワーゲンは、現在グループ全体で11ものブランドを抱えています。すべてを合わせると、パワートレーンもボディタイプも、それはもう、とてつもない数になるのです。
ちなみに八木さんの言う「11のブランド」とは、アウディ、ベントレー、ブガッティ、Jetta(ジェッタ)、Cupra(キュプラ)、ランボルギーニ、RUF(ルーフ)、ポルシェ、セアト、シュコダ、そしてフォルクスワーゲンである。ベントレーもブガッティも、今やフォルクスワーゲンの傘下にあるのだ。否応なく押し寄せる電動化と自動運転の波。これらの開発には莫大なコストがかかる。ウルトララグジュアリーのブランドも、単独で生きていくことはできないのだ。人はみな一人では、生きていけないものだから。