X教諭の言い分
「互いに気をつけ合うようにしただけ」
「仲のいい子ども同士で互いに気をつけ合うようにしただけ。何が問題なのか」
そのため校長らがX教諭に「問題がないと思っているのはX先生の主観であり、今の時代、そうした指導法は許されるものではない」と諭し、ようやく理解を得るに至ったという。
いじめについては、既に学校でいじめにかかわった7人の児童らへのひとまずの聞き取り調査を終えている。
だが、事態はここでストップしたままとなっている。いじめ被害を受けたヒナタさんと母親がショックで共に体調不良となったためだ。
いじめ被害を受けた側の親子2人は、学校の校舎付近に行ったり、担任教諭の名前を聞いたりしただけでも、嘔吐や頭痛に襲われるといった症状に悩んでいる。親子で受診した結果、適応障害の診断がついた。母親にはこれにうつ病が加わる。
そのため学校がヒナタさんや母親の体調不良により事情を聞くことが、難しい現状になっている。ヒナタさんの母親が体調不良のなか、話を聞かせてくれた。
「もしかしたら子どもがいじめられたのは、お弁当のことが原因かもしれないのです……」
食物アレルギーを持つヒナタさんは給食が食べられない。そのため毎日、母親手作りの弁当を持参している。
この弁当のおかずは、クラスの男子たちを中心に、日々の話題になっていた。クラスで注目を浴びるヒナタさんに7人の同級生たちは、さぞ面白くなかったのではないか、というのが母親の見立てである。
この母親の見立てを裏づける声もある。ヒナタさんと同級生の児童と保護者によると、アレルギーゆえ素材にこだわり、カラフルな盛り付けの手作り弁当を毎日持参するヒナタさんへの風当たりは、いじめの加害側とされる7人の児童のみならず、一部の保護者の間でも強いものがあったようだ。保護者のひとりは言う。