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【精神科医が教える】ネガティブ思考の人の特徴。2位は「回り道を無駄と考える」。では1位は?Photo: Adobe Stock

「ブランクがある」と
思い込んでいませんか?

 今日は「人生にブランクはない」というテーマでお話ししたいと思います。

 よく、「自分のやりたいことができなかった」「留年した」「浪人した」「やりたいことと違う道に進んだけれど、やりたいことに戻ってきた」といった経験を、「ブランクがある」「回り道をした」と表現することがあります。

 実は、私の父もそういう経験をしたひとりです。父も医者だったのですが、医者になる前に一度、建築士として働いていた時期がありました。でもやっぱり医者になりたいという思いが強くなり、やり直して医者になったのです。

 その話を聞かされるたびに、「それって本当にブランクなのかな?」と、私はずっと思っていました。

経験に「無駄」はない

 建築士としての経験や、そのときに身につけたことは、決して無駄ではありません。人生の中で「無駄なこと」はひとつもないのです。

 そもそも、みんなが現役で医者になる必要なんて、まったくありません。自分のペースで、自分なりの道を歩んでいいんです。

精神科の世界では
回り道が力になる

 特に精神科の分野では、「回り道をした」「いろんな経験をした」という医者のほうが、むしろその経験が活かされることが多いです。

 だから私は、人生に「ブランクがあった」とか「回り道をした」という表現は、ちょっと違うんじゃないかなと思っています。

 その間に起きたこと、感じたこと、悩んだことは、本当にあなたにとって無駄だったのでしょうか? 私はそうは思いません。

引きこもっていた時期も
立派な人生の一部

 たとえば、「何もできなくて引きこもっていた時期がある」という人がいるかもしれません。でも、それも「ブランク」ではありません。

 人間には「無駄な時期」なんてないのです。たとえ、自分にとって不本意な時期があったとしても、「ここからちゃんとやろう」と思ったときに、それまでの経験は必ず何かしらの形で役に立ちます。

 もちろん、過去の辛い体験がフラッシュバックしたり、トラウマとして残ったりすることもあるでしょう。でも、それだけがその時期のすべてではありません。

「こうあるべき」に
縛られすぎないで

「本当はこうあるべきだったのに」と自分に期待していた姿と違う道を歩むと、人はストレスを感じます。でも、どんな生き方をしても、不満やストレスは感じようと思えば感じられてしまうものです。

 そうじゃなくて、「あの時期も、自分にとって必要な時間だった」と思えたら、それだけで人生がグッと変わります。

どんな時期も「あり」です

「この時期、辛かったな」「ちゃんとやれてなかったな」「本来の自分じゃなかったな」と感じる時期も、すべて「あり」なんです。

 そう思えたら、どんな時期でも「なんとかなる」と感じられるようになると思います。人生にブランクはありません。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。