ところが、当時、プロのアナリストたちはまだTeslaが持つ爆発的な潜在力に気づいておらず株価にも十分織り込まれていませんでした。そのおかげで私は、割安な価格でTesla株を取得することができたのです。
その後、Teslaは業績もブランド価値も加速度的に伸び、株価は急騰しました。私は、まさにその高騰のタイミングで保有しており、その恩恵をしっかり受けることができたわけです。
ファンダメンタルズ分析は、あくまで「現時点で得られる数字」に基づいて企業価値を判断する手法です。現状を正確に読み取るには役立ちますが、これから未来を切り拓くようなイノベーションや、いまはまだ想像もつかない大きなビジョン、そして社会を根底から変えるメタトレンドを、それがまだ黎明期にあるうちに見抜くことは苦手です。
特に「次のNVIDIA」や「第2のTesla」、つまり今後大化けしていく銘柄を見つける場合、ファンダメンタルズ分析では不十分なのです。
私はファンダメンタルズ分析は行いませんが、投資してみようと思った企業のファンダメンタルズ(財務状況・経営状況などのデータ)は、最低限確認するようにしています。とはいえ、難しい分析はせず、必要最低限の数字をざっと見るだけです。
具体的には、赤字企業であれば「手元資金(現金や換金しやすい資産)があと何年持つか」、黒字企業であれば「PER(株価収益率)」をチェックします。
将来、飛躍的な成長が期待されるベンチャー企業は、赤字経営を続けているケースが少なくありません。むしろ、リスクが高いからこそ、成功した際のリターンも大きくなるわけで、今後、株価が10倍、100倍に大化けする可能性を秘めた企業に投資をしたいと考えるならば、必然的に赤字経営の企業に遭遇する機会が多くなります。
赤字経営でも3年間の
運転資金があればOK
実際、かつてのTeslaも毎期のように赤字を計上し、「来月には経営破綻するかもしれない」とまで揶揄されていました。しかし、上手に追加の資金調達(イーロン・マスク自身のお金も含む)を繰り返し、「Model3」の生産を軌道に乗せることにより、無事に倒産の危機を乗り越え、いまや世界有数の時価総額を誇る企業へと大成長を遂げました。
とうぜんながら、赤字経営が長期間続き、手元資金が底をつけば、倒産は避けられません。いくらメタトレンドに乗って将来大きく成長する可能性がある企業でも、倒産すれば元も子もありません。