加えて、特にベンチャー企業の世界では、事業が軌道に乗る前に、資金がショートし、あっけなく倒産してしまうことは決して珍しいことではないのです。
ただし、赤字企業であっても、潤沢な手元資金が残っていれば、すぐに倒産することはありません。そこで、まずは企業の「貸借対照表(バランスシート)」から「現金及び現金同等物」の項目を探し、手元資金の残高を確認します。
次に「損益計算書(P/L)」で直近1年間の最終損益(赤字額)を把握。そして「手元資金」を直近の「最終損益(赤字額)」で割ることで、現在の資金があと何年で尽きるのかを割り出します。このとき厳密に算出する必要はありません。あくまで目安として使用するため、大まかな数字で大丈夫です。
アメリカの企業であれば、日本における有価証券報告書に相当する年次報告書「Form10-K」で、これらの情報を確認できます。
私はひとつの目安として「この企業は、現在の資金で最低3年間は持つかどうか」を見ています。3年間の猶予があれば、その間に追加の資金調達やビジネスモデルの再構築、あるいはピボット(事業内容の大幅な方向転換)を行えるからです。その間に、経営を立て直し、黒字転換を実現できる可能性は十分あります。
競合他社の分析は
ざっくりでいい
逆に、あと1年すら持たないような状況であれば、倒産のリスクがきわめて高い状態であり、私にはそのようなリスクの高い企業に投資する勇気はありません。
私が倒産のリスクを承知のうえで、あえて赤字企業への投資を検討するのは「将来的に大きく伸びる可能性があるから」という理由です。ただし、その際には「資金が枯渇し、倒産するリスクはないか」という点を絶対に確認します。
「赤字」ではあるものの、「大きな伸びしろ」を秘めた企業を選ぶ際には「最低でも、向こう3年間は、倒産せずに走り続けられる資金的な体力があるか」を必ず見極めるようにしましょう。
このワンステップを踏むだけで、赤字企業への投資で、致命的な損失を被るリスクを大幅に軽減できるはずです。
私は投資判断において、ライバル企業の動向をそれほど重視していません。
たとえば、Teslaへの投資を検討するなら「EV業界の競合であるBYDやフォード、GMなどの経営状況や戦略を詳細にリストアップし、比較検討する」というアプローチが一般的な投資のセオリーかもしれません。