デキる上司は正解ではなく
考え方を示す

 これは飲み会に限らず、日々の仕事の場面にも当てはまる。情報を与えるだけではなく、その解釈の仕方や考え方とセットで伝えることで、本人が自ら考え、判断できるように促す。そして、最後は本人が行った意思決定を尊重するというマネジメントをしているのだ。

 先述した飲み会の会話の例には、まさにそれが表れている。

 上司、中間管理職の立場になると、「正解」を出し、それを部下に納得させ、同じような行動をさせなければならないと考えてしまいがちだ。もちろん、それが重要な場面もあるのだが、このマネジメント手法ばかりを繰り返していては、部下は自分で考えなくなり、常に管理職に対して正解を求めるようになる。あるいは、管理職の考えとは関係なく、自分の都合で物事を考えるようになってしまう。

 デキる上司は正解を出すのではなく、正しい情報とその解釈の仕方、考え方を提供し、部下が自分で考え、判断できるようにする。正しい解釈の仕方と考え方を提供していれば、おのずと部下は間違った判断をしないようになる。

 結果として、飲み会に参加するかどうかといったささいな問題であっても自分で考え、選択できるようになるし、自らが成果を出すために最適だと思われる行動を取れるようになっていく。

 たかが飲み会といっても、部下が自ら情報を正しく解釈し、正しく考えられるように導くマネジメントができる管理職は、会社にとって貴重な存在といえるだろう。