「自分も、もっと数字に強ければ…」
日々の買い物や職場で「数字コンプレックス」を感じたことはないだろうか。「算数や数学は大キライ…」「できるだけ見たくない…」中には「数字はもう諦めた」という人もいるだろう。
しかし実は、「数字に強い」は生まれつきの才能ではない。数字に強い人は、無意識のうちに九九などの「頭を使わないラクな計算」を使って、面倒な計算をうまくサボっているのだ。
新刊『「数字がこわい」がなくなる本』は、数字に強い人の脳内を解明した一冊。数字に強い人が無意識にやっている「頭を使わないサボり計算テク」を知れる本書の中から、今回は「数字のとらえ方」について紹介したい。

本気で「5000兆円ほしい!」と思う人は頭が悪い“二流”。一流はどう考える?Photo: Adobe Stock

「5000兆円」どれくらいか知っていますか?

「5000兆円ほしい!」

――ネット上で一時期、大きな話題となったこのフレーズ。途方もないほどの金額ですが、具体的にどのくらいの大きさか考えたことはありますか?

数字に弱い人は、こういったとてつもなく大きい数字を見て、なんとなく「欲しい!」と思ってしまうかもしれませんね。しかし数字に強い人は、日頃からこういった「大きすぎる数字」の扱い方をよく知っています。そのため、「5000兆円」がどれくらいかもイメージができているのです。

実際のビジネスで使うのは百万~億、十億くらいの人が多いかもしれません。5000兆ほどではなくても、こういった「大きすぎる数字」をつかむのは難しいですよね。

今回は本書で紹介している「大きな数字のつかみ方」の一部を使いながら、紹介していきましょう。

「くらべる」「ちいさくする」で、数字をつかむ

5000兆円がどれくらいかをつかむために、まずは「くらべる」を使ってみましょう。

世界全体のGDPをご存じですか? 概算ですが、「1京数千億」といったところです。

つまり、「5000兆円」は世界のGDPにおける、およそ3分の1~半分に相当します。個人どころか、一国のスケールを超えた金額だということがわかりますよね。

5000兆円は、世界のGDPの3分の1~半分くらい

では次に「ちいさくする」で考えてみましょう。「もし80年生きるとして人生のうちに5000兆円を使い切るにはどうすればいいのか?」と考えてみます。

計算してみると、1日あたり約1700億円を使う必要があります。これは1日24時間で割ったとしても、1時間あたり数十億円という非現実的なペース。もはや想像がつかないほどのスケールです。

5000兆円を80年で使い切るには、1日あたり1700億円を使う必要がある

少しやってみただけで、途方もない額だということがわかったと思います。

「くらべる」「ちいさくする」だけで、数字がこわくなくなる

実は、この“ざっくり換算してみる”という姿勢は、日常的な金銭感覚やビジネスの場面でも役立ちます。たとえば売上や予算で大きな数字を扱うときも、「1年で見ると莫大だけど、1日あたりはいくら?」「全人口で割ったら1人当たりどれくらい?」と考えるだけで、数字がグッと身近になります。そうやって具体的な目安を持てば、漠然とした不安や過大評価を防ぎ、正しい判断につなげられるでしょう。

数字に強い人は、こうした大きい金額をただ「すごい!」で終わらせず、「どのくらい大きいのか」を分解してイメージします。世界全体のGDPと比べたり、1日単位や1人当たりに換算したりすることで、その数字の持つインパクトをリアルに感じるわけです。「5000兆円ほしい!」というジョークめいたフレーズであっても、数字に強い人は、「どれくらいの大きさか?」を考えてみる癖がついているのです。

一方、数字に弱い人は「5000兆円=とてつもない額」という印象だけで止まってしまう。その結果、「すごそうだけど、実際どれだけすごいの?」という問いには答えられません。「意味わからない」「大きすぎる」と投げてしまいがちです。

しかし、やったことは、「くらべる」と「ちいさくする」の2つだけです。本当は、ほんの少しの意欲と工夫で、数字への苦手意識は大きく変わるんです。

(本記事は『「数字がこわい」がなくなる本』に関する書き下ろし原稿です)