食事をする男性写真はイメージです Photo:PIXTA

最近は健康のためにたんぱく質を意識的に摂る人も多くなった。しかし、吸収しきれなかったたんぱく質は、腸内で悪玉菌のエサになったり、腎臓病につながったりする恐れもある。それを防ぐためには、たんぱく質と一緒に食物繊維も摂ったほうがいいという。たんぱく質と食物繊維の関係性について、大妻女子大学教授の青江誠一郎氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

消化しきれないたんぱく質が
腸内細菌の「悪いエサ」に

 筋トレブームや健康ブームの中、普段の食事でタンパク質を意識的に摂取している人も多いだろう。その目的は、たんぱく質を摂取して、筋肉を維持し、いつまでも健康的にいようというもの。

 しかし、ただ単にたんぱく質だけをとればいいかと言われたら、そうではない。健康において重要なのはたんぱく質と食物繊維の比率なのだ。青江氏は次のように話す。

「たんぱく質はすべて消化できるわけではなく、一部は大腸に運ばれます。それらのたんぱく質は大腸の腸内細菌にエサとして食べられ、たんぱく質を構成するアミノ酸が分解されます。その際に臭いの原因物質であるスカトールなどができますが、これらは実は腸内毒素の1種なのです。肝臓に吸収されていくと慢性腎臓病の原因になります」

 つまり、たんぱく質は腸内細菌にとって悪いエサになってしまうのである。ただし、これは食物繊維を摂取することで防ぐことができる。

「食物繊維は腸内細菌にとって良いエサです。たんぱく質と食物繊維があれば、腸内細菌は食物繊維を優先して食べてくれます。腸内細菌が食物繊維を食べると、短鎖脂肪酸という物質ができます。これが脂肪を燃やしたり、免疫を高めてくれたりします。実際、摂取するたんぱく質と食物繊維の比率が慢性腎臓病の発症と相関関係にあることもわかっています。つまり、健康を考えるならば、たんぱく質と食物繊維はバランス良く食べなければならないのです」