トランプ政権ウクライナ「レアアース確保」の副作用、西側サプライチェーン構築にむしろ逆風!?Photo:The Washington Post/gettyimages

ウクライナの権益確保は国防上の思惑
脱炭素・新エネルギーは世界の中国依存強まる!?

 米国が重要鉱物のサプライチェーン再編・強靭化に向けて積極的な動きを見せている。

 トランプ大統領は3月24日、ウクライナとの重要鉱物に関する協定が近く署名される見通しと表明した。これは、ウクライナがレアアースをはじめとする豊富な鉱物資源を有していることが背景にあり、ウクライナの戦闘の停戦後、ロシアの再侵攻回避やウクライナへの支援を提供する「見返り」としての要求とされる。

 また、トランプ大統領はその数日前の20日には、国内で重要鉱物の生産拡大を促す大統領令に署名した。

 重要鉱物は、リチウムやニッケルといったレアメタルを含み、脱炭素化やデジタル化の推進に不可欠であることから注目を集め、特に脱炭素に関連した製品での利用で重要性が急激に高まっている。

 だがトランプ政権の重要鉱物資源確保の目的は、リチウムやニッケルのような電気自動車(EV)のバッテリーに使われる脱炭素に関連したものよりも、希少資源(レアアース)など軍事関連に重きを置き、世界的に期待される動きとは異なっている可能性が高い。

 むしろ懸念されるのは、トランプ政権がバイデン前政権時代とは逆の「脱・脱炭素」政策を進めるなか、米国、さらには米国との協力で各国の重要鉱物サラプライチェーンの再編や強靭化は一部しか進まず、重要鉱物の中国依存が続く恐れがあることだ。

 その場合、日本を含め西側諸国は、将来的な脱炭素社会に必要な新エネルギー製品の製造で中国に大きく後れを取る、さらに経済安全保障上のリスクを高めることに注意が必要だ。