母に会いにいく決心をする嵩
ハガキにあった住所を訪ねると……?
ハガキには、用が長引いているからまだ帰れないと書いてあった。早く用事が済んで帰ってきたら、今度こそ、母と千尋と3人で親子として接することを想像するだけで胸が高鳴るであろう。
だが、喜びもつかの間。のぶのパンは思ったようには売れず、町に売りに行くがやっぱり売れない。嵩のほうは、千尋が熱を出す。体が弱くてよく扁桃腺を腫らして寝込んでしまうのだ。医者の家の養子になって良かった。
嵩は心配からまたしょんぼり。シーソーにひとり乗ってたそがれていると、のぶが現れる。
元気のない千尋はお母さんに会いたいと言っていると心配する嵩に、のぶは、ハガキに住所が書いてあるから、行って連れてくればいいと助言する。
こうして嵩は高知のまちなかにひとりで行くことを決意。
途中、ヤムおじさんに、歩いて行けるか聞くと、線路沿いに歩いていけなくもないと言う。御免与町は架空の町で、ハガキにあった高知市片倉新町も架空の町のようだ。いったいどれくらいの距離なのだろう。
ちなみに、御免与町にはモデルがある。高知県には実際、御免町がある。この御免町駅から高知駅までと仮定してグーグルで検索すると、歩いて2時間30分くらい。子どもの足ではもっとかかる。ハードな旅になるであろうが、大丈夫か、嵩。
でも、わりと涼しい顔でハガキに書いてある住所にたどり着いた。格子戸から登美子が現れ……。
格子戸越しの松嶋菜々子の着物姿が眼福であった。たまるかー。
ただ、嵩は知らないが、御免町では登美子が再婚したという噂が広まっていた。またしても悲しい出来事が起こるのではないかと不安でならない。
さて。嵩のモデルである、『アンパンマン』の作家・やなせたかしは、御免の名前にちなんで、「ハガキでごめんなさい」コンクールというものを考案して平成15年から行われている。
南国市観光協会のサイトには〈人には必ずといってよいほど、「ごめんなさい」を言いそびれていることがあります。そんな「ごめんなさい」を1枚のハガキに託して、私たちの町「ごめん」に送ってください〉とある。
登美子のハガキには「ごめん」とは書いていなかったものの、彼女の口から「ごめんなさい」が出てしまうのではないかと、どきどきする。たまるかー。
