直木賞受賞の高村薫と
芥川賞受賞の藤野可織
京都市の北方にある6年制中高一貫の私立校だ。卒業生には京都ならではの文化人や、「京都銘柄」企業の経営者などがそろっている。
女性の卒業生2人で、直木賞と芥川賞を取っていることを、まず、紹介しよう。

小説家の高村薫は『マークスの山』で、1993年上半期の直木賞を受賞した。『新リア王』『土の記』などの話題作を次々と出し、数点の文学賞を受賞している。
高村は、同志社高校を経て国際基督教大でフランス文学を専攻した。骨太の社会派サスペンスで人間に切り込む作品で知られ、ファンを多く抱える。社会的な事件について関心が強く、新聞の時評や論壇などで縦横に意見を述べている。
もう1人の小説家は、高村より2回り以上年下の藤野可織だ。『爪と目』で2013年上半期の芥川賞を受賞した。これより前の06年に『いやしい鳥』で文學界新人賞を受賞し、文壇にレビューした。
藤野は同志社高校を経て同志社大文学部美学美術学科卒。大学院博士課程前期まで進んだ。学術出版社でアルバイトをしながら、小説を執筆していた。
なお、同志社高校と姉妹校の同志社女子高校出身の小説家である澤田瞳子も、21年上半期の直木賞を受賞している。
「OG2人で、直木賞と芥川賞」というケースは、同志社高校以外にも数例ある。大阪府立泉陽高校(大阪府堺市。直木賞・西加奈子、芥川賞・由起しげ子)、石川県立金沢錦丘高校(金沢市。直木賞・唯川恵、芥川賞・本谷有希子)、それに私立横浜雙葉高校(横浜市。直木賞・三浦しをん、芥川賞・中里恒子)だ。
なお、OG2人で芥川賞を取った例としては、福岡県立福岡中央高校(福岡市。森禮子と大道珠貴)を挙げられる。
小説家ではさらに、同志社高校で同期だった赤神諒と藤岡陽子もいる。赤神は弁護士で上智大大学院法学研究科教授をしており、17年に日経小説大賞を受賞した。藤岡は看護師でもある。
歌人や詩人として
活躍する卒業生たち
生化学研究者と歌人との「二刀流」を貫いているOGもいる。75年生まれの永田紅(こう)で、同志社高校から京都大大学院農学研究科博士課程に進み、04年に博士号を取得、10年には欧州生化学連合の分科会で最優秀若手研究者賞を受賞した。現在は京大特任助教だ。
一方、歌人としては01年に第1歌集『日輪』で現代歌人協会賞を受賞している。代表作に「細胞の中に奇妙な構造のあらわれにけり 夜の顕微鏡」がある。