10代のうちに「弱い自分」と向き合える貴重な経験が「浪人」

――簡単なものではないのはよくわかりました。ちなみにびーやまさんは浪人時代に印象に残っていることなどありますか?

びーやま:浪人時の夏が非常に印象に残っています。僕は浪人の春まではとても順調に過ごしていたんです。浪人が決まった2月からひたすら勉強を続けて成績は順調に伸び、夏を迎える少し前には偏差値が50後半まで到達しました。成績も調子もまさに右肩上がりで、「これは早稲田に絶対に受かる!」と確信していました。

 ですが、大変だったのはそこからでした。

 偏差値は50後半まで来たものの、どうしても60の壁を越えられないのです。今思えばそれは当たり前のことというか、偏差値は上がれば上がるほど、1上げるのも大変ですから、時間もかかります。

 ですが、当時の僕はそれまでが順調だっただけに、そのスローペースに耐えられませんでした。それでも勉強を続けていればよかったんですが、僕はそのときに遊んでしまったんです。好きだった古着屋さんで買い物をしたりして勉強から逃げてしまいました。期間にして1ヵ月以上はロクに勉強をしていなかったように思います。あれは明確な後悔です。

 その後、秋に差し掛かる頃になんとか偏差値は60を超えましたが、それはリフレッシュできたからとかではなく、死ぬ気で勉強に戻ったからです。夏も折れずに勉強していれば、早稲田の別学部にも受かっていたかもしれないと今でも思います。結果的には教育学部で勉強できて本当によかったですが。

――あらためて、浪人が「自分との戦い」というのがわかるエピソードですね。

びーやま:浪人は結局そういうものなのだと思います。どれだけ弱い自分に向き合えるか、どれだけ未来のために今頑張れるか、そういったことを10代の最後に試されるんです。

 なので、浪人生のとってのライバルは同じ大学の志望者じゃなくて、弱い自分なんですよね。

 ですが、こういった経験を通して、弱い自分に打ち勝つことができた人は、大人になっても同じように頑張れるんじゃないかなと僕は思います。「苦手だ。もういいや」ではなくて、「苦手だ。どうしたら自分は克服できるのだろうか」と思えるのはとてもいいことです。

 ですから、人生という長い目で見れば、浪人で得られるものは受験結果以上に大きいものかなと僕は思います。

 もちろん、浪人する決断をしたことで、予備校などに通うことになれば費用などはかかりますが、その費用も納得のいく大学に入って就職したあとに親御さんに返していけば大丈夫なことがほとんどです。なので、ちゃんとその額や時間に見合った努力ができれば、僕は浪人はいいことだと思います。

 応援してくれる家族や友達に感謝したうえで、浪人生には納得のいく1年を過ごしてほしいと思います。

――よく理解できました。ありがとうございました。

びーやま[著]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。

高田ふーみん[協力]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』にて「学歴至上主義」を貫く学歴モンスター。京都大学経済学部中退(現役合格)。学歴を絶対の価値基準とする偏った思想を持つヒール役として受験生や大学生を中心に人気を博している。決め台詞は「Fランやないか」。