とはいえ、「浪人が不利」というデータも
――たしかに「納得度」というところでは大きな差が出そうです。就職面ではどうでしょうか。浪人が不利になるなどのデメリットはあるのでしょうか。
びーやま:就職の専門家ではないので、断言はできませんが、一般的な範囲であれば浪人が不利になるというケースは聞いたことがありません。ましてや今の時代、留学で1~2年卒業が遅れるケースもありますし、就活のためにわざと留年する人もいます。
「22歳大卒」以外もスタンダードになりつつあるように感じるので、浪人が悪い方向に目立つということはないと思います。入ってしまえば、東大は東大ですし、早稲田は早稲田です。
1年遅れたから学習できる内容が違うわけでもないので、「浪人だから不利」ということはないと思います。
――そう聞くと浪人のデメリットはそんなになさそうですね。
びーやま:基本的にはそうだと僕は思うのですが、デメリットがないわけではもちろんありません。それは大学の合格率を見ればわかります。
浪人すれば現役生に比べて勉強時間は1年間分加算されますし、実際の入試も一度経験しているため、アドバンテージは大きいと言えるでしょう。
しかし、各大学や予備校が公表している数々のデータでも証明されているように、浪人の年数を重ねれば重ねるほど、実は大学合格率は下がっていきます。日本一の名門・東京大学ですら、全体の約7割は現役生です。科類や年度によっては8割近くが現役生で占められることもあります。
これは、それほどに浪人は生半可な覚悟では合格を勝ち取れないということの証左でしょう。
当たり前のことですが、浪人生は「現役時になにかが足りなかったから」落ちてしまったわけです。それを死に物狂いで克服する必要があります。
加えて、一番あるあるなのが、「結局遊んでしまうケース」です。基本的に浪人は誰にも管理されません。それまでに比べて自由な時間がかなり増えます。そうなるとお昼過ぎまで寝て1日中ダラダラ過ごす。「勉強も明日からでいいや」と思ってしまうなんてことが当たり前になります。当然ですが、これでは成績は伸びません。
浪人合格を勝ち取れる人は、増えた時間すべてを使って「自分に徹底的に厳しくできた人」だけです。
ですが、「同級生たちは先に大学生になって楽しそうに遊んでいる。自分も少しくらいなら」となりやすい。この葛藤と浪人生は常に戦わなければいけないのです。