
昨今、さまざまな食品の商品名やPR文で使われている「ザクザク」の文字。人々はなぜザクザクという食感に惹かれるのか。消費経済アナリストの渡辺広明氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
コンビニなどであふれる
「ザクザク」の文字
チョコレートやシュークリームといったスイーツ系から、フライドチキン、ポテトチップス、担々麺(ナッツのザクザク感)などのおつまみや主食系まで、今やコンビニをはじめとした小売店の食品売り場は「ザクザク」の文字であふれている。
「チョコ感ぎっしりザクザククランチチョコ」(セブンプレミアム)、「ザクザクとした食感のリッチキャラメルポップコーン」(ファミマル)、「ポン・デ・ザク宇治抹茶 きなこ」(ミスタードーナツ)などとネーミングに冠されることもあれば、「カップヌードル担担」(日清)のようにパッケージに「ザクザクコリコリ新食感!」と書かれているケースもある。
ザクザクという言葉は、昔からあったものの、ここまで商品名やPR文に使われるようになったのは、最近のことではないだろうか。
こうしたザクザク食感のヒット商品で記憶に新しいのは、2023年に発売された理研ビタミン「ふりかけるザクザクわかめ 食べるラー油味」だ。この商品は、『日経トレンディ』の「2023年ヒット予測100」の商品部門に選出。発売から2カ月で1年分の販売予定数を記録したという。
このようにザクザクが食のトレンドに躍り出たのには、どのような背景があるのだろうか。渡辺氏はザクザクの言葉としての特徴や利便性について次のように話す。
「ザクザクは食感と擬音を兼ね備えているワードです。そのため、消費者にとって商品のイメージがしやすいです。商品パッケージはわかりやすさが命ですが、ザクザクというワードは、こうした意味で消費者に訴求がしやすい。なので、商品のネーミングにもしやすいのです」