■“人より先に気づく力”をどう鍛えるか

例えば、広告業界の変化にしても、すでに表面的なニュースになってからでは遅いのです。重要なのは、数字の裏にある「変化の兆し」をどれだけ早く察知できるか。

実際に私は、PRの重要性や「空気を設計する技術」の本質を、身近なiPhoneの流行やSNSの動きから肌感覚で捉えていました。

このような日常と市場の接点に敏感になることが、良い投資アイデアの種になります。

■集中投資は「思考の深さ」でも勝負する

分散投資では多くの銘柄を幅広くチェックする必要があるため、どうしても1社1社にかけられる時間が限られてしまいます。

それに比べて、集中投資であれば、その企業について誰よりも詳しくなれる可能性がある。

実際、当時の私は「ベクトルについて語らせたら誰にも負けない」と思えるほど、業界構造から競合比較まで徹底的に調べ抜いていました。その“知識量と自信”が、相場が揺れるときにも自分を支えてくれたのです。

■「売る勇気」もまた実力の1つ

そして、もうひとつ忘れてはならないのが「売却」の判断です。

上昇トレンドのなかでは、つい「まだ伸びるかもしれない」という欲が出てしまうものですが、私は明確にチャートの過熱感と業績との乖離を感じ、売る決断を下しました。

結果的に、ベクトルの株価はその後しばらく横ばい~乱高下を繰り返すようになりました。「利確は正義」とよく言われますが、それを実行するには、“自分のルール”に従って動ける勇気が必要です。

■上昇相場でも「他人任せ」にしない

アベノミクス相場のような強い追い風が吹いているときほど、周囲の熱気に流されて冷静な判断を失いがちです。

SNSやニュースの情報が増えれば増えるほど、自分の軸を見失いかねません。だからこそ、「なぜその銘柄なのか」「どのタイミングで乗って、どのタイミングで降りるのか」を明確にしておく必要があります。

相場の流れに乗るのはよいことですが、「判断そのものを流されること」とは全く別物なのです。

※本稿は『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。