
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は7日、ドナルド・トランプ大統領の関税政策に伴う景気減速を抑えるためにFRBが利下げを見据えている、との印象を打ち消した。
パウエル氏は記者会見で「wait(待つ)」という言葉を22回も使用し、FRBが利下げを急いでいないことを強調した。「さらに様子見するコストは非常に低いと考えているため、そうしている」
FRBはこの日、 政策金利の据え置き を決めた。パウエル氏は会見で、トランプ氏の予測不能で気まぐれな貿易関連の発表が、米国と他の先進国の間で金融政策の乖離(かいり)を生み出したことを明らかにした。
こうした乖離の理由は単純だ。他の先進国は輸入品に対する関税を大幅に引き上げていない。その結果これらの国では、需要鈍化と労働市場軟化の影響は見られるものの、FRB高官らが年内に直面する可能性のある物価上昇の影響は見られない。
さらに、米経済が高インフレの厳しい時期を経たばかりであるため、FRB高官らは、雇用情勢の悪化を見越した予防的利下げを行うリスクは取れないと考えている。そうした利下げは短期的に物価上昇圧力を一段と高めてしまう恐れがある。