
9日から日本など対象に相互関税発動
市場は“解放の日”に投げ売りで反応
米トランプ政権は、4月5日ほぼ全ての国・地域からの輸入品に一律10%の関税を発動したのに続き、9日からは約60カ国・地域からの輸入品に対して、相手国・地域が課している税率(「為替操作や貿易障壁も含む」)を基に、それと同水準まで関税率を引き上げた「上乗せ税率」による課税を発動する。
こうした「相互関税」の具体案を発表した2日の演説で、トランプ大統領は「我々の国家は何十年もあらゆる国家によって物色、略奪、陵辱(りょうじょく)されてきた。わが国とその納税者たちは50年以上にもわたってぼったくられてきたのだ。その心配はもういらない」と、「アメリカ解放の日」を強調した。
だが、平均関税率を約50%に引き上げた(マッキンリー関税法)第25代大統領ウィリアム・マッキンリー(任期:1897年3月~1901年9月)を模倣したと思われる今回の措置は、米国経済だけでなく、世界経済や国際政治情勢に大きな衝撃をもたらす可能性がある。
当然、株式市場は投げ売りで反応。相互関税発表後、3日と4日の2日間で、中国政府が米国からの全ての輸入品に34%の報復関税をかけると発表したこともあり、ニューヨークダウ工業株30種平均は3269ドル、9%を超える下落となり、日経平均株価も急落した。
今後、経済・物価への影響が実際のデータに表れるにつれて、さらに調整が進む可能性がある。スタグフレーション回避で難しいかじ取りを迫られるのが各国中央銀行だ。