オリンピック選手やノーベル賞学者のように飛び抜けて優れた人、足下にも及ばない人に嫉妬したりはしないでしょう。

同業者とのあいだに
真の友情は芽生えにくい

 反対に、共通のものがあれば、妬みます。

「同じ職業の者が真の友達になることは違った職業の者の間においてよりも遥かに困難である」(前掲書)

「同業者とは本当の友達になれない」哲学者が指摘する理由に納得感しかない『妬まずに生きる』(岸見一郎、祥伝社)

 同業者であれば理解し合える反面、業績を比べて競争することになります。違う職業の人であれば妬みの対象にはならず、競争になりませんが、同業者であれば成功を収めた人を妬むことがあります。

 その人が世間の称賛を浴びるようなことがあれば妬み、その上激しくバッシングをすることもあります。誰を妬むかはあまり問題ではありません。自分が有能であると思われ、自分の価値が高く評価されたいと願っている人は実際に高く評価される実績がないので、自分の価値を相対的に高めるために、成功した人の価値を貶めるのです。

 このことはまた妬みが向けられる対象が特定の人ではない、一般的な人であるということを示しています。