日本人に多い対人不安の実態
対人不安とは、簡単に言えば、人と接する際に感じる不安のことである。
心理学者のシュレンカーとリアリィによれば、対人不安とは、現実の、あるいは想像上の対人的場面において、他者から評価されたり、評価されることを予想することによって生じる不安のことである。
つまり、自分が他者の目にどのように映っているか、あるいは映ると予想されるかをめぐる葛藤により生じる不安が対人不安である、ということができる。
対人不安の強い人は、他者の目に映る自分の姿が自分の望むようなものになっていない、あるいはならないのではないかといった不安の強い人だということになる。さらに言えば、対人不安の強い人とは、他者の目に映る自分の姿を自分にとって望ましい方向にもっていけるという自信の乏しい人ということができる。
対人不安の話をすると、多くの人が自分も対人不安が強いという。大学の授業で学生に話しても、社会人に話しても、そのような反応が多い。そして、自分自身について、つぎのように語る。
「断られるのが怖くて、自分から誘えない」
「グループができると、そのなかでしかつきあわない傾向があり、自分もそうだけど、みんな対人不安が強いように思う」
「相手からどう思われるかがとても気になり、自分をさらけ出すことができない」
「相手によく思われたい気持ちが強くて、無理して合わせたり、つまらないと思われないように必死になってしゃべったりしている」
「相手のノリが悪いと、やっぱり自分の話はつまらないんだと思って落ち込んでしまい、ますます気まずい感じになる」
このように対人不安というのは、多くの日本人が若い頃から抱えている不安とみなすことができる。けっして珍しいことではないのだということは踏まえておきたい。