口調や表情、ジェスチャー、視線…
非言語コミュニケーション力が伸びない!

 英語を学んでいると、「この状況ではどういうフレーズが使えるか」といった言葉の意思伝達のみにフォーカスしてしまいがちだ。しかし現実の会話は、非言語コミュニケーションが非常に大切だ。つまり、口調(トーン)や、表情、ジェスチャー、視線、姿勢も含めたボディランゲージ、あいづちのタイミングなども全部まとめて「英会話」なのである。

スマホとアルファベット写真はイメージです Photo:PIXTA

 非言語コミュニケーションは日本語でも大切だが、こと英語においては意識して磨くことが求められる。日本とはかなり文化の異なる国々の人と話すためには当然だろう。

 ある文化圏の人がどんな時にどのようなジェスチャーを行い、それにどのような意味があるのか。これはAI英会話では、まったくカバーできない。特に注意すべきは、言葉上のメッセージと非言語のメッセージが異なる場合だ。

 例えば、Oh yeah, you’re right.(あ、そうか、君の言うとおりだね)というフレーズがある。このフレーズは、話す相手のトーンや表情によって初めて、「本心は全くそう思っていないようだ」とか「冗談で皮肉を言っているのだ」とか、真意が分かる。

 対面スクールでは、自分から単語を強調する、トーンや表情を変えて話すなどして、相手の反応を見ながら会話を腹落ちさせていく。これが外国語のベストな体得方法だ。ところがAI相手の会話だけを続けていると、AI独特の単一なトーンに固定された話し方、トーンの変化や表情がもたらすニュアンスが欠如した話し方しかできなくなる危険性がある。

 AI英会話の落とし穴の二つ目は、この非言語コミュニケーションにも関係するが、さらに深刻なものだ。