金利で明暗! 銀行絶望格差 #3Photo by Yasuo Katatae

金利上昇の影響が及ぶ範囲は、預貸ビジネスなどの事業だけにとどまらない。多くの銀行員にとって最大の関心事である、出世の定石にも影響を与えそうだ。そこで特集『金利で明暗! 銀行絶望格差』(全16回)の#3では、メガバンクの社内序列をおさらいし、2024年前半にも訪れる「金利のある世界」で、新たに台頭する部門はどこかを探った。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

きっかけは金利上昇
行内序列と出世の定石に変化!?

 銀行の最高権力者である頭取。最近では、銀行を含めた傘下子会社を束ねる、持ち株会社社長の方を格上に見ることも増えてきたが、頭取は往々にして金融グループの中核である銀行を率いるため、依然として特別な存在だ。

 そんな頭取に上り詰めるための定石は、どの銀行もほぼ同じ。経営戦略の立案や金融当局との折衝を担う企画系部門は代表的な登竜門だ。それ故に行内序列も必然的に最上位となる。

 加えて、海外事業やデジタル戦略を担う部門の経験も欠かせない。とりわけ海外事業は、デフレや不景気、超低金利のために収益力が低下した国内事業をカバーする存在として、行内序列は年々上がっている。

 ところが、である。2023年7月に日本銀行がYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を柔軟化。本格的な金利上昇が見えてきたことで、不動とみられていた行内序列と出世の定石に、微妙な変化が訪れそうなのだ。

 果たして、金利上昇時代に序列が上がる部門はどこなのか。次ページでこれまでの序列をおさらいするとともに、新たに台頭する部門を明らかにしていこう。