全部委託管理だとしても、管理人が滞在している時間が短いと、共用部の汚れは目につきやすくなります。

 マンションの管理人の働き方は「住み込み勤務」「常駐勤務」「巡回勤務」に分かれます。

 住み込み勤務は、文字通り管理人が24時間、大抵は住み込みでマンションに待機している体制です。常駐勤務は、管理人が住み込みではなく平日に通勤してくる体制で、土日は不在になるため対応してもらうことができません。巡回勤務は、1人の管理人が複数の物件を受け持ち、各マンションを週に何回か訪れ、数時間ずつ滞在するという体制です。

管理人の常駐勤務が
どんどん減っているワケ

 一般に、タワマンなどの高級マンションは、管理人(コンシェルジュ)が24時間常駐。一般的な大規模マンションは常駐勤務が多く、小規模マンションやアパートは巡回勤務が多くなっています。また、最初から管理人を置いておらず、何かあったときに管理人を通さず、管理会社が直接対応する「無人管理」という形態もあります。

 管理人が長く滞在しているマンションなら、エントランスにゴミが落ちていたり、照明が切れていたりしたときにすぐ対応してもらえますし、掲示板の内容が長いこと更新されていなかったり、郵便ポストが雑然としていたりするようなことも、基本的には起こりにくいでしょう。

 これが巡回勤務だと、対応してもらえるまでにタイムラグが発生するため、たまたま掃除されていないときにマンションを見学に行ったとすると、「このマンションは、ちょっと管理に問題がありそう」という印象になります。

 そう考えると、管理人には常駐してもらうのが一番だという気がしますが、今は人手不足で管理人のなり手が減っており、2030年にもなれば、AIの活用による省人化・無人化が一層進んでいくでしょう。AIコンシェルジュも当たり前になるかもしれません。

 かつては大企業の管理職を勤め上げたような優秀な人材が、定年退職後の再就職先として管理人を選ぶケースがよく見られました。しかし、最近は定年を迎えても、元いた会社に再雇用される形で働く人が増加。管理人の職を選ぶ人は急激に減りました。