労働力が減ると、人件費は高騰するのが世の常です。当然、管理人に長くいてもらおうとすればするほど、管理費が高くなってしまいます。

 多くのマンションでは管理費の高騰に苦慮し、コストをカットできる部分はできるだけ削っていこうという方針です。そのため、管理人を常駐管理から巡回管理に切り替えたり、無人管理にして清掃などの雑務を住民で行ったりしているわけですが、それがあまりうまく回っていないと共用部が荒れてきてしまいます。

外壁のタイルが剥がれるのは
建物の劣化の兆し?

 本来はNGとされている共用部への私物の放置が見逃されている場合も、管理の実態はかなりずさんだと考えていいでしょう。そのほか、ゴミ出しのルールが守られていないような場合も、モラルに欠ける住民が住んでいて、それを組合側も野放しにしている可能性があります。言うまでもなく、そのようなマンションは避けたほうが無難です。

 定期点検や大規模修繕工事が適切に行われていないと、マンションの建物や設備は劣化していきます。その劣化の兆しは、パッと見ですぐにわかるものもあります。よくあるポイントをいくつか挙げていきましょう。

 近年、非常によく報告されているのが外壁タイルの剥落(はくらく)です。マンションの外壁は大抵の場合、モルタルを塗った上にユニット式のタイルを貼り付けて施工します。建物のコンクリート面を守ることができ、なおかつ見た目も良いのが特長ですが、時間が経過するにつれて徐々に「浮き」が出てきます。

 浮きを放っておくと、いずれタイルは剥落することになるのですが、1、2枚ポロッと剥がれる場合もあれば、数百枚まとめてドサッと剥がれ落ちる場合もあります。

 ちょっとした浮きや数枚程度の剥落は、特に珍しいことではありません。マンションを数十件見たら、そのうち1件くらいで浮きや剥落が見つかるというくらい、ありふれた現象です。ただ、それを放置しておくと建物にダメージが及ぶ恐れがあります。

 マンションの建物はコンクリートと鉄筋・鉄骨で造られていますが、コンクリートは強いアルカリ性の性質を持っています。これに対して雨水は酸性で、排気ガスなどの気体を取り込むと強酸性に変化します。