――30年間のコンビニオーナー人生で、いちばん嬉しかったことは?

 毎日お客さんに「ありがとう」と言われたことですね。1日に何回も、たくさんのお客さんから「ありがとう」と言ってもらえるって、幸せなこと。道ばたでお客さんにお会いすると手を振ってもらったり、顔は知っていても名前は知らない人から「あなたのこと大好きよ」と言ってもらえたり。思い返すと、苦しい時期もお客さんに助けられていました。

――いちばん嫌だったことはなんですか。

 嫌なこともやっぱり、お客さん絡みなんですよね(苦笑)。

 バイトの子が割り箸を入れ忘れたから「謝りに来い」とお客さんから電話がきて、自宅に謝りに行って3時間も正座させられて説教されるなど、モンスタークレーマー、カスタマーハラスメントは日常茶飯事でしたね。

 夜中に電話がかかってきて、「まんじゅうを買ったのに袋に入ってなかったぞ」と延々と話を聞いた後、「車の座席の横に落ちていることが結構あるんですよ、ちょっと調べてみていただけませんか」と言ったら、「あったわ」と電話が切られるとか、そういうのは本当につらかったですね。本部がどうのこうのよりも、つらかった。

――生まれ変わっても、もう一度コンビニオーナーになりたいと思いますか。

書影『コンビニオーナーぎりぎり日記』(三五館シンシャ)仁科充乃『コンビニオーナーぎりぎり日記』(三五館シンシャ)

 二度とやりたくないですね! 私は今、ホテルの清掃のパートをしていて、夫も近所の環境の良い場所で働けています。1時間働けば確実に1000円以上もらえる。オーナー時代は時給換算したら1時間250円くらいで働いていましたよ、しかも夜勤でね。

 コンビニオーナーを辞めてからは、本当に心身ともにラクになりました。休日は完全なオフで、パートさんやバイトの子から電話がかかってくることもないし、トラブル対応もない。もっと早く辞めれば良かったねと夫と言っています。

 今は夫とふたりで「幸せだね、週に2日も休みがあるなんて!」と毎日、話しています。休みの日にはふたりで出かけられるようになったことが、何より嬉しいです。

辞めコンビニオーナーが激白!「激安ドラッグストアが殴り込み」で“仁義なき戦い”が始まった写真はイメージです Photo:PIXTA