金原「たしかに。あぁ……でも、改めて考えてみると、上司として自分にもっとできることがあったんじゃないかって、今はちょっと感じます」

カタリーナ「退職代行を使った新卒社員の早期退職は、ゴールデンウィーク明けがピークだという調査結果もあって、入社前のイメージと職場環境のギャップ等を退職理由として挙げる人が多いみたい。配属のミスマッチが起きないような工夫も必要ね」

金原「ちょうどアルゴリズムを活用した人事配置の話が進んでいるところなんです。今回の件は残念ですが、こうしたことが起きないよう社内でも検討してみます」

<カタリーナ先生からのワンポイント・アドバイス>

●退職代行とは、従業員本人に代わって退職の意思を勤務先に伝えるサービス。民間業者、弁護士、労働組合の運営・提携したサービスの3種類がある。弁護士、労働組合系は交渉対応も可能。利用する場合も信頼できる業者を検討したい。
 

●民法では、期間の定めのない雇用契約では、いつでも解約の申し入れが可能で、その申し入れの日から2週間後に雇用は終了するとされている(同法627条1項)。ただし、契約社員など期間の定めのある場合、雇用契約を結んでから1年以内は、やむを得ない事由がないかぎり退職できないので留意したい。
 

●マイナビの「退職代行サービスに関する調査レポート」によると、直近1年間に転職した人で退職代行を利用した人は16.6%。職種別では「営業」「クリエイター・エンジニア」で利用率が高い。利用した理由は「引き留められた(引き留められそうだ)から」が約4割で最多。退職代行利用者は年々増加の傾向にある。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)