「高騰時に中古車を購入した方が少し経って査定に出すと100万円以上も値が下がったという話はよくありました」(同)

 また、資材価格の高騰などから新車販売価格が上昇している分、中古車ショップの仕入れ価格も上昇。特に高級車を扱う事業者は、多くの手元資金が必要となり経営が不安定になるケースも増えている。

 さらに近時は、一般個人への代金未払い・未納車の状態のまま連絡が取れなくなる事業者の情報が、帝国データバンクに相次いで入ってきている。そうした事業者の一部がメディアで大きく取り上げられることで、消費者が中小の中古車ショップを敬遠する傾向が高まる可能性もある。

 いずれにせよ、業歴の短い事業者や情報開示に消極的な事業者との取り引きには十分な事前審査が求められるだろう。

医療機関は約1000事業者が
倒産・廃業で消滅する見通し

 医療機関の倒産は1月~5月で病院8件、診療所10件、歯科医院12件の計30件となり、年72件ペースで推移。過去最多の2024年(64件)を更新する可能性がある。

 2025年の動向の特徴は、病院の件数が多いことだ。2015年から2024年までの10年間で病院の倒産が最も多かったのは2019年(8件)だが、2025年は5月までに7件(年17件ペース)と、過去最多の2007年(18件)に迫る勢いだ。

 しかし、倒産の10倍以上発生しているのが休業・廃業・解散だ。2025年は5月までに病院12件、診療所288件、歯科医院73件の計373件が確認されている。これは年900件ペースで、過去最多の2024年(723件)を大きく上回る見通しだ。

 つまり、今年は倒産や廃業で約1000の医療機関経営事業者が姿を消す可能性があるわけだ。

 収益率の悪化など、経営が悪化する医療機関が増えている大きな要因として、近年高騰する医療機器の価格、入院患者の給食費、光熱費などの経費増があるが、診療報酬の改定推移をみると、それらの上昇分をまかなうにはほど遠い変動率となっている。

 また、働き方改革の影響で残業代の負担が増えている施設も多いようだ。「昔は勉強代としてサービス残業が当然だった研修医も残業代がもらえるようになった。大きな病院では1カ月あたりの残業代だけで億単位の経費増となっているという噂も聞く」(医薬品卸の審査担当者)。