企業の成長に応じて
パーパスは変えてもOK!
たとえば、パーパス経営の先進企業として有名な味の素。2018年には「食と健康の課題解決」をパーパスとして掲げ、その実践を通じて、企業価値を2年間で3倍以上に高めた。
そして2023年には、「アミノサイエンスで人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という新たなパーパスを宣言。進化し続けている過程で、目指す姿が「食と健康」だけでは収まりきらなくなったからだ。2015年から8年間、同社の社外取締役として伴走してきた筆者にとっても、5年でパーパスを刷新する初めての経験となった。
それにしてもやはり、パーパスという横文字より、「志」という大和言葉のほうがしっくりくる。志、「士の心」には終わりはないからだ。シン日本流を目指す旅路は、資本主義から志本主義への宗旨替えが求められる。その際にはぜひ、パーパスも志に鞍替えしたいものだ。日本企業の志は、まだ道半ばである。しかし、それが志の本質でもある。
だからといって志半ばであることを悲観して暴走(超成長路線)したり、逆に現状逃避(脱成長路線)に走る必要はない。「持続する志」を持ち続け、さらにそれをアップデートし続けること。それをシン日本流の流儀として定着させ、世界に広げていくことを、ぜひ心掛けたいものである。