増加傾向にある「英語資格利用型」
第四のタイプが、前回冒頭で触れた豊島岡女子学園[算数・英語資格入試]のように、ここ数年その数を増やしている英検(もしくは他の資格試験の得点をCEFRで換算)の取得級を利用する「英語資格利用型」の入試である。学校は入試問題を作らなくて済むし、受験生も当日頭を悩ませなくていいので、こちらは今後も増えていくのだろう。
英語資格利用型は大きく3つの方式に分かれる。入試科目の一つとして取得級により換算する「みなし得点方式」、取得級により単純に総得点に別途上乗せする「加点方式」、数は少ないが受験資格として一定の取得級を必要とする「要件方式」だ。複数の方式を採用する学校もあるので、取り上げる順序が前後することもある。ここからはいずれも2月入試である。
まず「みなし得点方式」から。国算2科に英語資格の換算点を加えて3科で判定する学校、国算2科もしくは国・算いずれか1科の得点と比較して高得点のものを採用して判定する学校とに大きく分かれる。また、学校によって対象となる英検の級と換算点は大きく異なる。どの級からが対象になるかで、その学校のレベル感も示されるだろう。
日本工業大学駒場は、大人気の1日午後[2回](477人・5.2倍)と2日午後[4回](381人・12.3倍)に、25年から「英検利用方式」も取り入れている。国算2科の得点と英検みなし得点(4級50点、3級60点か70点、準2級80点か90点、2級以上95点)を並べて、高得点の2つの科目の合計で合否を判定する。2日の京華女子[2回英検利用特待](7人・1.2倍)も英語資格点(5級55点、4級65点、3級75点、準2級85点、2級以上95点)と国・算の得点を比べて同様に判定する。
人気の入試回となっている三輪田学園[英検利用]は、1日[1回午前](54人・1.6倍)、2日[2回午前](56人・1.8倍)で、英検のみなし点(3級75点、準2級85点、準2級プラス90点、2級以上100点)と国・数のどちらか高い方の得点との合計で判定する。国数2科の合計で合格最低点を上回っていればそれだけで合格となる。
同様の仕組みの実践女子学園[英語資格]も、1日午後[1回(午後)](85人・1.9倍)、2日午後[2回(午後)](36人・2.1倍)とやはり人気がある。一定レベル以上の資格保持が出願条件になっており、加点基準(4級50点、3級60点か70点、準2級80点か90点、2級以上100点)からすると4級以上は必要ということになる。
創価[2/1](202人・2倍)は国算2科か4科だが、英検取得級の理社換算(3級70点、準2級80点、2級以上100点)を設定、理社各50点満点と英語の換算点のどちらが有利かを出願前に検討できる“変形4科”のような仕組みとなっている。
2日の湘南白百合学園[英語資格](18人・1.6倍)は、国数2科と英語みなし点を合わせた300点満点で判定する。換算点は一部見直され、3級は30点から50点、準2級70点から準2級プラスと準2級が80点に、2級90点と準1級以上100点は変わらない。3級取得者にも受験を促そうという意図が感じられる。なお、1日午後[1教科]と2日[4教科・英語資格]を併願する場合、2日の受験の際、1教科の得点と比べて良い方を採用し、合否判定される。
目白研心は、2日午前に[英語資格](13人・1.6倍)、2日午後は25年に新設された[英語アドバンスト](6人・2倍)を行っている。前者は国語と英語資格(4級60点、3級70点、準2級80点、準2級プラス85点、2級90点、準1級以上100点)の合計点で、後者は英語での自己紹介とプレゼンテーション、日本語と英語による質疑応答でそれぞれ合否を判定する。
麹町学園女子は2つのタイプの英語入試を行っている。[2月1日午前英語型](15人・1.1倍)は国算英(英検4級レベル)3科で、国算2科と英語資格(英検4級70点、3級80点、準2級以上100点)の[2月1日午後特待](21人・1.2倍)と[2月6日午前一般英語資格](12人・1倍)があり、いずれも受かりやすい。
女子聖学院は、英検3級程度のリスニング試験のあった2日[英語表現力](3人・1.5倍)を廃止し、[スカラシップ英語資格利用]を4日午後に新設する。募集人員5人で、国算2科に英検4級以上のみなし得点を加えて合否を判定することになる。