図表1:年上メンバーとのコミュニケーションは「リスペクト」を持って同書より転載
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忙しくてもメンバーの事情を
考慮できるゆとりを持とう

「家族あっての仕事です。家庭を優先してください」

 私が社会人6年目のときに、先輩リーダーにかけられた言葉です。今でも私のリーダーとしての軸を形成している言葉で、どんなときも、この精神を大切にしたいと思っています。

 どういう状況でいわれた言葉だったかを振り返ると、当時、プロジェクトが大きな節目を迎えるタイミングに、個人的な事情が重なり、どうしても数日、仕事を休まなければいけなくなりました。

 そこで、前述の先輩リーダーに事前に相談をし、休暇をもらうことにしたのです。

 ところが、事情を知らない別のチームのリーダーが、「なんでこんなときに休んでんだよ! みんな頑張ってんだよ」と、休み明けの私に文句を言ってきたのです。

 先輩リーダーは、すぐさま間に入って、その場をとりなしてくれました。そのときに私に言ってくれたのが、先程の言葉です。

 この出来事は、私の心に強く響きました。実際、プロジェクトは予断を許さない状況だったにもかかわらず、メンバーのプライベートを優先させられる先輩の度量に感動しましたし、この人のために仕事をしたいと思いました。

 そして、自分も、メンバーにこんな言葉をかけられるリーダーになろうと誓ったものです。

休みが必要になったら
リーダーも遠慮なく休む

 まさに、家族あっての仕事です。これは、独身者も同じで、それぞれにプライベートがあります。それを差し置いてまで、絶対的に仕事優先であってはなりません。現実には、仕事を優先しないといけない局面もあるでしょうが、メンバーのプライベートな事情も考慮してあげられるリーダーでありたいものです。

 例えば、有休や夏休みなどのまとまった休暇や、産休、育児休暇を取りたい、というメンバーがいるとします。このときリーダーが心がけなければいけないのは、休みを取りにくい雰囲気をつくらないことです。

「プロジェクトが大変なときに、すみません」「こんなときに休みを取るのは心苦しいのですが……」と切り出すメンバーがいたら、手放しで快く送り出してください。

「大丈夫だよ、しっかり休んで。仕事のことは心配しないでね」と言ってあげるのです。できるだけ、休みを取りやすいチームを作る、ということを意識するといいでしょう。

 そのようなチームにするために、あなた自身が休みを取るときも「チームが忙しいときに申し訳ないですが、休ませていただきます」などと言わないようにしてください。

 リーダーが休むことに引け目を感じていたら、メンバーも休めません。休むときはしっかり休み、しっかりとパフォーマンスを出すチーム、仕事もプライベートも充実したチームを作りましょう。

図表2:メンバーのプライベートも配慮する同書より転載
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リーダーが休みを取るときに「言ってはいけない」言葉とは?〈再配信〉『リーダー1年目のマネジメント大全』(木部智之 著、三笠書房)