談合は、またも繰り返されるのか――。各都道府県で進む入札制度改革に逆行するかのごとく、福島県がこの4月から復活させた指名競争入札の高い落札率(落札価格÷予定価格×100)に注目が集まっている。

 福島県は、昨年10月から250万円を超える工事で、誰もが参加できる一般競争入札を導入。発注者が入札参加業者を選ぶために談合の温床といわれてきた指名競争入札と決別したはずだった。

 ところが、地元建設業界や自民党、公明党の後押しによって、県は今年2月に指名競争入札の1年間の試行を決定。4月からは、1000万円未満の工事を対象に年間で300件程度を見込んでいる。

 その第一弾は、会津農林事務所が5月28日に入札を行なった「復旧治山2001工事(高森地区)」。937万3350円の予定価格に対して、落札率は95.21%と高い水準で決着した。じつは、その1週間前に同名工事の宮ノ沢地区の入札も実施されたが、こちらは一般競争入札で落札率が77.85%となっていただけに、その落差が浮き彫りになった格好だ。

 加えて、約300件で試行するという指名競争入札の選定基準もきわめて不透明。同県の入札監理課が「明確な基準は決めていない。各出先機関で決めることになる」と説明するほどだ。

 一昨年、福島、和歌山、宮崎の3県で続いた談合事件。全国知事会の指針を受けて、昨年9月の時点で、今年度の一般競争入札の下限金額は250万円以上が12府県、1000万円以上は13道府県にまで広がる見通しだった。

 建設業の再編淘汰が避けられないなかで、業者の保護策へと舵を切った福島県。問題先送りは、建設業界の活性化を遅らせるだけだ。

(『週刊ダイヤモンド』委嘱記者 内村敬)