新聞社の面接で「漫画が好きです」はアリ?緊張しすぎた嵩の迷走がリアルすぎて朝から胃にくる【あんぱん第71回レビュー】『あんぱん』第71回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第71回(2025年7月7日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

入社試験を受ける嵩
ネガティブなことを言ってしまう

 高知新報で行われた入社試験に立ち会ったのぶ(今田美桜)は嵩(北村匠海)の姿を見つけ驚く。

 なぜ、ここへ? しかも、相変わらず遅刻。そして挙動不審。

 嵩は健太郎(高橋文哉)からもらった万年筆をお守りのように胸ポケットに潜ませて試験に臨む。
筆記試験のあとは面接。立ち会いは本来のぶだったが、嵩に気づいて、琴子(鳴海唯)に代わってもらっていた。

 面接には東海林(津田健次郎)がいる。健太郎から雑誌を買っている東海林は、間接的に嵩とつながっているが、ここではまだそれに気づいていない。

 嵩の面接の回答は芳しくない。自己紹介では「柳井嵩です」としか言わない。「つきたての餅のような粘り強い性格だと思っています」という表現は悪くない気がするが、そのあと「たっすいがともよく言われます」とネガティブなことを言ってしまう。

 次は戦争に関する質問。戦争を経て何を思っているかという質問。これは得意分野ではなかろうか。当然、例の逆転しない正義について語る。が、これも「そもそも逆転しない正義ってあるんでしょうか」と不安そうなことを言って、面接担当者たちは怪訝な顔になっていく。

 面接において、自分の欠点を明かしたり曖昧な表現をしたりするのはよろしくないだろう。

 さらに、「弊社の新聞で関心をもった記事は」と聞かれて、「漫画です」と答え、「受ける会社を間違えたようだねえ」と言われてしまった。