嵩が50分で描いた漫画が掲載!「くじら創刊号」即完売→戦後の雑誌“2円”って今の価値でいくら?【あんぱん第73回レビュー】

広告費の取り立てで
 “事件”が起きた

 朝田家のシーンには久しぶりにお菓子屋の桂(小倉蒼蛙)、天宝和尚(斉藤暁)も登場し、戦争を生き抜いたのだなあ、よかったなあと安堵した視聴者も少なくないだろう。でもこれまで常に力が漲っていた釜次(吉田鋼太郎)が咳き込んで、ちょっと心配でもある。

「月刊くじら」は好評で2日で2000部が完売。その功績が認められて次号は4ページ増となった。4ページ分の企画を急遽考える一同。東京に取材に行きたいという話になったが、取材費の捻出はどうする?

 そういえば、肝心の広告費が未払いだった。あの調子のよかった質屋である。のぶ(今田美桜)は取り立てに向かう。月刊くじらに配属になった嵩はのぶに同行する。

 いつも店番している、番頭?の鰐口(藤尾勘太郎)が払わないと突っぱねる。雑誌を馬鹿にし、嵩の漫画を「くだらん」と言うので、のぶは怒ってバッグをぶつける。

 鰐口がのぶをはたき返そうとすると、嵩がかばう。頬で寸止め。そこにあの調子のいい主人の羽村(佐古井隆之)が出てきて、広告費を払い忘れていたとけろり。広告費未払い事件はあっさり解決した。広告をとれなかったときといい今回といい、鰐口がいやな人なだけで、こんな人を店に出していたら、店の評判が落ちると思うのだが……。

 主人がいい人な分、多少いやな人じゃないと質屋の店番はつとまらないのかもしれないと、いいほうに解釈したい。

 かっとなると見境なくなることをのぶは反省する。このハンドバッグをぶつける事件は、実際にあったことだった。のぶのモデル暢が、広告費の集金にいって、女性だと甘く見て払おうとしない店主にハンドバッグを投げつけたそうで、その場に居合わせた男性がその勇ましさに惚れ込んだのか求婚し、嵩のモデル・やなせたかしを焦らせたというようなことが「やなせたかし はじまりの物語:最愛の妻 暢さんとの歩み」(高知新聞社)に書いてある。