社会人として伝える能力に磨きをかけることは最優先課題と言えるでしょう。伝える方法は、2通りあります。

 まずは口頭で伝える、つまり「話す」という行為。

 もう1つは、文字で伝える、つまり「書く」という行為になります。

 いずれも言葉を使って伝えます。

コミュニケーションスキルは
学ぶ機会がほとんどない

 まずは口頭で伝えること(「話す」という行為)に関して説明していきます。

 新入社員をはじめとした若手社員の研修をしていて、一番多いのがコミュニケーションに関する要望です。できれば即効性のあるコミュニケーションスキルを教えてもらいたいという声が非常に多いです。

「小学生の頃から、ずっとコミュニケーションは大事だと親からも先生からも言われ続けてきました。それなのに、国語や数学の授業はあっても、コミュニケーションの授業は、カリキュラムに組み込まれていませんでした。

 就職してからも人事部の採用担当者、配属されてからは先輩や上司からも、コミュニケーションは大事だと言われてきました。それなのに、コミュニケーションに関する研修を受けたことがありません。

 もちろん、新入社員研修等の中に、コミュニケーションに関するレクチャーもありましたが、『ちゃんと相手の目を見て話しましょう』『大きな声で元気よく挨拶することが大事です』『お礼は忘れないように』など、そんなこと改めて言われなくたってわかってますよ程度のことしか教えてもらっていません」

 コミュニケーションに関する基本は、小学校時代の延長です。特に、挨拶、お礼、謝罪、この3つは徹底することが大事です。

 こんな基本中の基本で当たり前のことですら、意外とできていない人が多いのも事実です。一番多いのが、本人は謝罪またはお礼を言っているつもりなのに、相手は謝罪またはお礼とは受け取ってくれていないなど、伝え方の問題から、謝罪の意や感謝の意が相手に伝わっていないというパターンです。