なぜかちゃんと教えてもらえない
コミュニケーションの大原則

 ただ、社会人になると、ひとつ原則が追加されます。

 言いかえれば、学生時代は、親、教師、部活の顧問から言われることはなかったのに、社会人になった途端、これが大原則だよと言われるコミュニケーションのルールのようなものがあります。

 それが報連相(報告、連絡、相談)です。

 ここからが大問題なのですが、報連相は社会人のコミュニケーションにおける大原則なのに、なぜかちゃんと教えてもらっていないのです。

 では教えられていない新入社員はどうすればいいかというと、もっとも身近な先輩の見様見真似をするしかありません。

 運よく入社2~3年目くらいの歳の近い先輩がいれば、その人たちの真似であっても何とか及第点をもらえますが、職場によっては一番歳の近い先輩社員が30歳近くだったりします。

書影『実践!新社会人のキホン』『実践! 新社会人のキホン』(内田和俊、筑摩書房)

 もし新入社員が、その30歳近くの先輩社員の報連相を真似していたら、恐らく先輩や上司からは怒られます。

 よかれと思って行った行為を否定されたら、当然のことですが、報連相に関して消極的になってしまうでしょう。

 すると昭和世代の管理職に多いのですが、本人に聞こえるように「最近の若い奴やつらは、報連相がなってない」みたいな発言をしがちです。

 そうすると、新入社員はますます萎縮してしまい、報連相どころか、コミュニケーションそのものが億劫になってしまいます。これが多くの職場にありがちな悪循環の構図です。