2列目、3列目シートは立派
国産勢に負けていない
試乗会場には2種類のフェイスが用意されていた。ひとつはいかにも最近のメルセデス風だったが、もうひとつは古風な顔つきで、ボンネットにはシルバーアローマスコットまで見えた。大きなディッシュタイプホイールは昔のS600を彷彿とさせる。見た目のゴージャスさは十分だ。
乗り込んで見れば、ダッシュボードデザインもグッと洗練されエレガントな雰囲気になっていた。2列目、3列目シートは立派で国産勢に負けていない。少し前からもう少しで追いつけそうなレベルにはなっていたけれど、今回の大規模改良でやっと追いついたというイメージである。
ドライブフィールはより磨きがかかっていた。最廉価グレード以外にはエアマチックサスペンションを装着。これが実にいい仕事をする。
開口部の広いビッグボディにもかかわらず、しっかりとした骨組に守られているかのような堅牢さは以前からの美点。最新モデルは動きに滑らかさが加わったことで街中から高速まで上質なドライブフィールになっていた。中でもコーナリング中の安定感はお見事。大きなサイズを感じさせない。
実績のある2Lディーゼルターボ(163ps/380Nm)は、車重2530kgのボディを過不足なく動かしてくれる。加速の際のサウンドが耳障りではあるものの、決して興醒めな類の音ではない。クルージング状態になれば、会話の邪魔になることもない。
特筆すべきは2列目シートの乗り心地のよさだった。以前は“座ると荷物になった気分”だったが、シートはもちろん取り付け部にも工夫を施したのだろう。これなら家族も満足してくれるはずだ。
(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/原田 淳)