電子部品業界イメージ電子部品業界で求められる人材とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新卒採用において、企業はどのような人材を求め、どの事業に注力しているのか。本連載では、専門家の市場分析を基に、各業界をリードする企業がどのような採用戦略を打ち出しているのかを解説し、今後の動向を探る。第13回では「電子部品業界」を取り上げる。(Diamond WEEKLY事業部 編集チーム 大根田康介)

戦略とパフォーマンスに差
注目すべきは固有の成長要因

 近年、電子部品業界はコロナ禍を背景としたDX(デジタルトランスフォーメーション)需要による「コロナバブル」を経て、その反動としての調整局面に入っている。在庫循環的には調整を終えて回復基調にあるものの、需給ギャップは依然として大きく、全体として力強い回復には至っていない。

「電子部品業界は一枚岩ではなく、企業ごとの戦略とパフォーマンスに大きな差が生じている。業界全体での明確なテーマが存在しない今、注目されるのは個別企業の独自戦略や新製品開発、シェア拡大といった固有の成長要因である」と、大和証券アナリストの佐渡拓実氏は分析する。

 たとえば、TDKの製品の中でも欧州で注目されたのが全固体電池である。従来の他社製品と比べ、容量が大幅に増加し、ウエアラブル機器やAI搭載デバイスに適した電池として今後の展開が期待されている。

 また日東電工は、ニッチながら独占的な製品ラインアップを強みにグローバル市場で存在感を示している。近年は欧州の法規制に対応したリペア可能な電池用テープなども開発し、価格交渉力と製品開発力の両面で強さを見せている。

 そんな中、電子部品業界はどう環境変化しているのか。また、それが新卒採用にどんな影響を及ぼしているのだろうか。