働きやすいだけじゃダメ?
20代成長環境を伸ばした会社の共通点
上位30社の総合評価は軒並み上昇している一方で、若手社員の成長実感に関する評価は苦戦している。「20代成長環境」スコアを伸ばした企業には、どのような共通点があるのだろうか。
休暇が取得しやすくなった企業では、職場環境やキャリア成長に対する評価はどのように変化しているのか。
総合評価スコア(5点満点)の推移を見ると、上位30社のうち1社を除くほぼすべての企業が10年間でスコアを伸ばし、30社の平均では0.27点上昇している。
8つの評価項目の中で、10年間で最もスコアを伸ばしたのは「法令順守意識」(30社平均0.50点上昇)、次いで「人材の長期育成」(30社平均0.38点)であり、最も伸びなかったのは「20代成長環境」(30社平均0.09点上昇)であった。「働きやすさ」と若手の成長実感の評価改善を両立させる難しさが表れた結果となっている。
一方、全体の傾向に反して10年間で「20代成長環境」スコアを上昇させた企業に寄せられたクチコミからは、社員一人ひとりが尊重され、若手でも裁量を持って業務を進め、多様な仕事に挑戦できる環境が整っていることがうかがえる。
「社員に信頼を置き働きやすい環境作りに非常に力を入れている。良くも悪くも裁量労働制であり、忙しいときには残業が続くこともあるが、基本的に自分の仕事の進み具合で就業時間や有給休暇の予定は立てやすく、ワーク・ライフ・バランスも非常に整っていると言える」(エンジニア、シスコシステムズ)
「社員の個々人の個性を尊重し、ニーズに応じた働き方を実現しようとしてくれる。社内のコミュニケーション自体は活発で、フラットな組織風土」(指導員、LITALICOパートナーズ)
「休みは取りやすく、大半が裁量労働のため、事前に調整することで、自由に休みを取れると感じている。また、一緒に働いている同僚にもよるが、休暇中はお互いに業務を引き継いで行う関係性ができているため、安心して休暇を過ごすことができる」(SE、東京海上日動システムズ)
「基本的に社内の風通しは良く、入社数年目も部課長を前にして会議において自分の意見を言う、その意見を聞く風土がある。人数構成として中堅層が薄く20代の社員が早くから責任をもって仕事に取り組むことが求められる。どちらかというと組織で動くのではなく、個人のパフォーマンスやコミットが重視される傾向にある」(営業、双日)
長時間労働を前提とするのではなく、自ら考え行動し、「パフォーマンスを出すこと」に重点を置くことで、効率的に成果を上げるための最適な方法を自分で選択できるという「働きやすさ」につながっていると考えられる。